
メイソン アルマーニを着た悪魔 5巻
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Zainab Sambo
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4
この巻は「メイソン アルマーニを着た悪魔 4巻」からの続きです。
第19章
ローレン
みんなの視線を一身に浴びながら居間を出た後、メイソンは私を客室に案内してくれた。
彼は家族と別れてからずっと無口で、私の横を静かに歩いていた。一瞬でも目を合わせようとしたが、彼は私を見ようとしなかった。
茶色いドアの前で立ち止まると、彼がドアを開けると先に中に入り、私が彼の後に続いた。
私は周囲を見回した。すでに中に運び込まれていた私の荷物はベッドの足元に置かれていた。
私のアパート並みの大きな部屋だった。私の視線は、キングサイズのベッド、インテリア、そして部屋の左側にある巨大な薄型テレビへとゆっくりと動いていった。
メイソンが私の横で咳払いをした。私はちらりと彼のほうを見ると、眉を上げた彼の視線に反応した。そのとき初めて、私の手がまだ彼の手に絡みついていることに気づいた。
私は真っ赤になって2人の間に少し距離を取ろうと手を引っ込めた。必要以上に長く彼の手を握っていたことに気づき、胸の鼓動が激しくなった。
私が気づいていたとか、彼の手を握っていて気持ちよかったなどと彼が考えていないことを願った。彼の脳裏をよぎらないことを願った。私はすでに、なんとかやりすごすために必死だった。
「ここがあなたの部屋じゃなくてよかった」私は誰が見ても作り笑顔だとわかるような笑みを浮かべた。
気まずさをごまかすため、今自分がどれほど動揺しているか隠そうとしていた。
「私の部屋には誰も入らない」と彼は私から視線を外さずに不機嫌そうに答えた。
彼は両手をポケットにつっこんでいた。偉そうに立っている姿がどれほど格好良かったか、彼が私の目を通して自分自身を見てくれたらと思った。
彼はわざとそうしているのではない。ただ、そういう男だった。傲慢さ、威圧感、そして自信は、彼が自然に身につけたものだ。
成功すればするほど、それが増していったに違いない。彼は自分の実力を見せつけ周囲に知らしめる権利を得ていた。
彼の自信は本物の成功に結びついており、その台座から彼を引きずり降ろせる人は誰もいなかった。
やってみても、成功することはないだろう。
「ああ」と私は何か分かったようにうなずき、微笑んだ。
「そこで殺人を計画しているんでしょう。バレないように人を遠ざけてるのね。なるほど」
彼はあざ笑うように眉を上げた。「連れて行ってやろうか」
その言葉より冷静さから彼が冗談を言っていることは疑いようもなかったが、私は鼻で笑うのを止められなかった。
「素敵な家族ね。あなたの親族らしいわ」私は思い切って荷物を取りに行き、ベッドの上に置いて、携帯電話の充電器を取り出そうとした。
「あなたたちキャンベル一家には、間違いなく光が差してるわ」
私が振り返ると、彼はじっくりと私を見た。
彼の口元の張りつめたラインは緩まなかった。私は彼の顔を指さした。
「もっと笑ったほうがいいわ。怒ると寿命が縮まるのよ、知らない?あなたはいくつ、40歳?」私は冗談を言ったが、彼が40歳でないことは十分承知していた。
しかし、私は彼に気持ちを楽にしてもらいたかった。彼の肩は凝り、顎は食いしばられていた。
彼は自分の周りに壁を作っていた。何のためか、私にはわからない。
「口をつぐむことがあるのか」と彼は不満そうにため息をついた。
私はがっかりして首を振った。
「妊娠中のフィアンセにそんな言い方はないでしょう、メイソン」
彼が眉をひそめたので、私は笑いながら説明した。「あなたの家族は、私たちが結婚する理由は、あなたが私を妊娠させたことしかないと思ってるのよ。ああ、待って!それだけじゃないの」
「私が誰か別の人の子を妊娠して、金目当てにそれをあなたの子だと言い張ってると思ってる」
彼らの前にいた時よりも、私は面白がっていた。本当にクレイジーな人たちだった。
メイソンは息を吐きながら悪態をついた。
私は満面の笑みで彼に近づき、頭を上げて彼の目を見つめた。彼の体から伝わる熱に、私はバランスを崩した。
「私はただ、お礼を言いたかったんです」言葉に詰まらないよう丁寧に口を開いた。「家族にもっと誹謗中傷させることもできたのに、私のために立ち上がってくれた」
「私は自分でちゃんと戦えるけど、少なくとも気にかけてくれてありがとう」
私たちは愛し合って結婚したわけではないし、1年過ぎたらもう一緒にいないけれど、メイソンは自分の責任をわかっていた。
この契約結婚で私は、彼が何も気にかけないのではないか、私を尊重しないのではないかと心配していた。
でも今は、彼は私を傷つけるようなことはしないと確信している。彼は約束を守ってくれる。
結局、父は正しかったのかもしれない。メイソン・キャンベルには良いところもあった。彼はめったにそれを見せないけれど、それでもちゃんとそこにあった。
彼はあきれたように私を見た。「仕方ないじゃないか。私は善良で愛情に溢れた婚約者を演じることになってるんだから」
私は彼が何をしているのか知っていた。彼は誰もが知っている堅物の男、誰かのために良いことなどしない男を演じようとしていた。でも実際、私は彼が誰にでも良いことをする人だと分かっていた。
けれど、今回は放っておこう。
「それで、どこで寝るの?」
「もちろん、ここで」
え?私は凍りつき、動くことも、息をすることも恐くなった。「あなたはここにいちゃダメよ」彼に私と同じ部屋で寝かせるわけにはいかない。
何十と部屋がある家なら、きっと彼が寝られる部屋があるはずだ。
メイソンは腕を組み、退屈そうに私を見た。
「婚約者の部屋でなかったら、どこで寝ろというんだ?私たちが同じ部屋で寝ていないことに家族が気づいたら、途端に疑い出すだろう」
「私の欲しいものが手に入らなくなる。そんな危険は犯さないよ、ローレン。文句を言うな」彼は、私を侮辱するような目でじろじろ見た。
「心配するな、私は君に興味がない。君は...」
「あなたのタイプ、ええ、知っています。あなたは何度もそう言った。寝ているときでもそう言っているのが聞こえるわ」
私が一歩下がると、彼は面白そうに、暗い灰色の目で、ゆっくりとした足取りで私に向かってきた。
私は彼の視線に、おなじみの興奮がじりじりと肌を焦がすのを感じた。それは花火のようにスリリングだった。
「それで君は私の夢を見るのか」と彼は訊いた。
「い、いいえ。ふざけないで。あなたの夢なんて見ないわよ」
なぜ彼はそんなことを言うのか、そんな目で私を見るのか。私の心臓は警戒で鼓動が激しくなった。
彼はくすくす笑った。口調は低く官能的だった。
「私は凄腕のビジネスマンというだけではない。嘘を見抜くのも得意なんだ、ハートさん」
「そう?」私は彼から離れながら、落ち着いた口調で話すことに努めた。
「これが察知できる?」私は急いで彼の横を通り過ぎようとしたが、つるつるしたものに足を滑らせ、あっという間に床に転びそうになった。
恥さらし、私とは古い仲だ。
反射的に手が伸びてきて、私の腰に腕を回して転倒を止めようとした。
メイソンは体を素早くひねろうとして、自分もつまずき、私たちはベッドに倒れ込んだ。
彼は私の目をまっすぐに見つめながら、体重で私を押しつぶさないようにベッドの上の私の頭の先についた手で自分の体を支えていた。
彼の視線は熱く、すべてを飲み込むようだった。
彼の香り、顔に当たる息の感触、私を包む体温に酔いしれ、心臓がドキドキするのが自分の耳に聞こえた。
彼は私に触れてはいなかったが、私はその場で解き放たれたも同然だった。
彼はとても美しかった。
彼の顔は細部まで完璧で、まるで彼が好き放題、自分自身に彫刻したようだった。
私は彼を押しのけたかったが、息を殺して見つめ返すことしかできなかった。
メイソンの視線は私の唇に注がれ、そのままそこに留まった。彼の表情が読めなくなり、私はつばを飲み込み、脈が速くなった。
そして、彼は体を震わせながら笑いだした。背筋を伸ばして楽しげに私を見下ろした。
彼は満足げな笑みを浮かべて起き上がり、振り返って部屋を出て行った。メイソン・キャンベルは自分が正しいことを証明したんだと思いながら、私は息もできずに天井を見上げた。









































