
パリの危険な恋 ―目覚めた狼は止まらない― 5巻
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Annie Whipple
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4
この巻は「パリの危険な恋 ―目覚めた狼は止まらない― 4巻」からの続きです。
第21章
ベル
「どこに行くの?」ホテルのロビーのドアを出たとき、私はグレイソンに尋ねた。
「まず、タクシーが必要だ」彼は通りの方向に歩き、簡単にタクシーを呼んだ。
「待って、どうして歩かないの?こんなに素敵な夜なのに」と私が言うと、タクシーが停まった。
彼がタクシーのドアを開けてくれた。「タイトなスケジュールなんだ」彼は私をタクシーに乗せた。
議論する意味もなかったので、私は車に乗り込み、グレイソンも後に続いた。彼には計画があるみたいだった。
運転手はフランス語で私たちに何か言った。行き先を聞いているようだった。驚いたことに、グレイソンは完璧なフランス語で場所を告げた。
「フランス語が話せるの?」私はショックを受けて彼に尋ねた。
「何ヶ国語か話せる」と彼は答えた。「アルファであれば、いろいろな言語を学ぶのは普通のことだ。世界中の他の群れとコミュニケーションをとるのが簡単になるからな」
私はうなずき、車が縁石から離れていくのをシートベルトを締めながら待った。どうしてこんなに完璧な人がいるんだろう?
かっこよくて、強くて、優しくて、頭がよくて。ー一体、彼は私のどこがいいと思っているのかしら?ー
シートベルトを締める前に、グレイソンは私の肩に力強い腕を回し、体をグレイソンに引き寄せ、私の髪に鼻をすり寄せた。
「ここに座って。俺はまだ君と離れる準備ができていない」
「私、あなたから全然離れてないんだけど」
グレイソンは肩をすくめた。「遠すぎる」
反論せず、彼の胸にすっぽり収まり、通り過ぎるパリの美しい通りを眺めることにした。目的地に向かう途中、運転手は隙あらばバックミラー越しに私たちをチラチラと見ていた。
何だか不愉快で身をよじった。
なぜ彼が私たちを見ているのかはわからなかったが、こちらにとても興味があるようだった。グレイソンは私の髪を弄ったり、脚をさすったりするのに夢中で気づいていなかった。しかし、彼は私の様子を見るとすぐに身を固くし、私の視線を追って運転手に目を向けた。
彼は目を細め、私が驚くようなうなり声を上げた。
運転手は大きく息を吸い込むと、すぐに目をそらした。残りの時間、運転手の視線は道路に釘付けになった。タクシーを降りると、私はグレイソンに向き直り、彼の胸を小突いた。
「人に向かってうなるのはやめてよ」
グレイソンは私の肩に腕を回し、私を通りへと導いた。彼は小さく息を吐いた。「君を見るのは俺だけでいいんだ」
「彼が私たちを見ていたのは、?」
彼はため息をついた。「ベル、君ほど美しい女性はいない。おそらく、君が俺の伴侶かどうか気になったんだろう。俺が伴侶を見つけたと知れ渡ったら大変なことになるから」
「あの人、人狼だったの?」私はショックを受けて尋ねた。
「さっきも言ったけど、パリは世界でも有数の人狼の生息地なんだ」
「ええ、どうにか理解しようとしているけど…イカれているわ。あの人はあなたが誰だか知っていたの?」
グレイソンはにやりと笑った。「自慢するわけじゃないけど、君の伴侶は人狼の世界では一種の大物なんだ」私は目を丸くした。
あきれてしまう。「彼も謙虚みたいね」
彼は私の耳元で戯れるようにうなり、優しく耳をなでた。笑ってしまった。彼は高級なバーの前で立ち止まり、ドアを開けてくれた。私は怪訝な顔をしながら中に入った。
店内は床から天井まで、数え切れないほどの種類のワインが並べられた特注の木製キャビネットで埋め尽くされていた。まさに洗練されたバーそのものだった。すべてが美しかった。
古着屋で10ドルで買ったジーンズにセーター、そしてコート姿の私は少し場違いな気がした。一番近くにあったボトルの値段を見て、目を見張った。700ドルだった。
私はグレイソンを見た。「何を企んでいるの?」
彼はウインクして私の手を握り、私の質問を完全に無視して店内を進んだ。スーツ姿の男のところへ行き、その男性がテーブルの上にディスプレイを置いた。私たちが近づくと、彼は私たちを見上げて微笑んだ。
フランス語で何か話しかけられると、グレイソンは英語で答えた。「最高のワインが欲しんだ」と言って、私を自分のそばに近づけた。
男性はただ微笑んでうなずき、動じることなくドアの向こうに消えていった。
「最高のワイン?」私はグレイソンに尋ねた。「すごい高いでしょ?」
グレイソンは肩をすくめた。「俺にできないことはない、約束する」
私は彼に向き直った。「ワイン一本に何百ドルもかけるつもり?」
「何千ドルだな、おそらく」彼は淡々と言った。
顎が床に落ちるかと思った。「数千ドル?」
グレイソンは微笑み、私の腰に手を置いた。「大したことじゃない。前はもっとたくさん使ったことがある」
「でも、ワイン一本よ?それにそんなに使ったの?」
彼が答える前に、男性がワインを二本持って戻ってきた。「私がお勧めするのはこの2本です。このワインはー」
「安いほうにしましょう」と即座に口を挟んだ。
男性は少し驚いた顔をしたが、すぐにその表情は和らいだ。「もちろんです、お嬢様」彼はボトルを一本、前に出した。
「こちらが8000ドルで安いほうになります」
「えっ?」私は息をのんだ。
「それをもらおう」とグレイソンは言った。
彼に向き直った。「買わないで」
グレイソンは眉をひそめ、面白そうに微笑んだ。「どうして?」
私たちの前に立っている男性を見た。「ちょっと失礼しても?」
男性は快くうなずいた。
グレイソンの腕をつかみ、店の前まで引っ張った。
「それを買わせるわけにはいかないわ」と言った。。
「ベル、君には最高のものだけがふさわしい。君には最高のものしか与えられない。金で買える最高のワインから始めよう」
「ワインなんて好きじゃない。そのお金でもっといいものがたくさんあるじゃない」
彼は眉をひそめた。「例えば?」
「寄付するとか。高価のブドウジュースにお金を払う以外に、何かほかにできることがあるはずよ」
彼は納得していないようだった。
「もし本当に私を喜ばせたいのなら、クレジットカードを渡して。ワインを買ってあげるわ」
グレイソンはとても困惑していた。「それで幸せになれるのか?自分でワインを買って?」
私はうなずき、手を差し出した。
彼はまだ半信半疑の様子だったが、それでもゆっくりとポケットに手を入れ、財布を取り出した。そして、私にクレジットカードを渡した。
彼のクレジットカードを手に、私はバーの入口を飛び出した。