
コルト 1%の男たち 8巻
著者
Simone Elise
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チャプター
3
サマーはエリオットとの離婚を進めるべく裁判所にいた。エリオット側は離婚の条件にサマーのお腹にいる子どもの親権を渡すよう求めてきた。だがこの子はエリオットの子ではない―コルトの子だ。長くなりそうなエリオットとの裁判に不安を抱きながらも、自分を守ってくれている人たちと共に、そしてお腹の子どもとコルトと強く生きる決心をする。その夜コルトはサマーに寄り添い穏やかな眠りを得ることが出来た。しかし翌朝、目にしたのはベッドに広がる血だった―
対象年齢:18歳以上
デビルの子ども
サマー
過去を変えることや未来を予測することはできない。けれど、未来を変える力は持っているはず。私は今、離婚弁護士の隣に座り、まさに未来を変えようとしている。
部屋の空気は凍りついていた。私は腕を組んで自分を温めようとすると、うっかりエリオットと目が合ってしまった。ほんの数ヶ月前まで、彼のことで知らないことなんてないと思っていた。それなのに、目の前にいる彼は私の人生を悪夢に変え、今では傷跡と思い出だけを残そうとしている。
「私の依頼人は離婚条件を拒否します」エリオットの弁護士が告げた。「ホワイト夫人の不貞行為が理由です」
「もちろん、そちらの方は教養がおありでしょうから、婚前契約がどのように機能するかご存知でしょう?」すかさず、私の弁護士が反論した。「夫妻には婚前契約がありません。つまり、私の依頼人が資産の50%を取る権利があることを意味します。ホワイト氏の…経歴を考慮すれば、妥当だと思いますが?」
私は弁護士に微笑んだ。エリオットに立ち向かうには強い人が必要だ。
「そうですか、では、裁判に進むことになりますね」エリオットの弁護士がテーブルの向こうから言った。「最近の裁判は6か月先に予定されており、その間は資産が凍結されます」
思わず目を丸くした。私は弁護士の方を向いた。
「そんなことができるの?」私は囁いたが、彼は黙ってしまい、目で心配しないようにと伝えてきた。
エリオットの弁護士は続けた。「ただし、1つ条件があります。条件を受け入れていただければ、依頼人は再交渉に応じるかもしれません。その条件とは、子供の親権に関するものです」
手が自然と小さな膨らみを隠すように動いた。もっと賢明な女性なら、嘘をつくことを考えたかもしれない。でも、私はエリオットから完全に解放されたかった。どんな代償を払ったとしても。
「エリオットは父親じゃないの」
「では、裁判でお会いしましょう」エリオットの弁護士が微笑んだ。
私の弁護士は立ち上がり、椅子が床を擦る音がした。私は彼に続いて、テーブルの周りを歩いた。
「悪魔の種は最初から呪われている」エリオットが歌い、私は立ち止った。「最後のチャンスだったのにな」
彼の方を振り返ると、すぐに後悔の念に襲われた。彼の目はどこか邪悪なものがあり、何かを予感させるようだった。まるでこれから起こることを見透かしていて、骨の髄まで恐怖を感じることが正しいとわかっているようだった。
***
稀に見る大雨だった。空からどっと降り注ぐ雨粒が雷鳴の合間を縫い、まるで終わりがないかのようだった。私は目をそらすことができなかった。
「サマー」
雨は降り続け、私はひたすら見つめていた。
全身が震えた。まるで外の草むらで、骨の髄までずぶ濡れになったような感じだった。
私は中にいたのに。
乾ききっていたのに。
町に戻ってからすでに6日が経っていた。確かに、それは過去の数か月を乗り越えるのに十分な時間だった。誘拐されて、海外に連れて行かれたあの数か月。そうだ、いい日もあった。昨日はすごくいい日で、一人で外に出ることができた。でも、今日は…今日は辛かった。
「サマー。サマー」ようやく窓から視線をそらし、スカーレットの気遣うような目を見た。「私が言ったこと、ちゃんと聞いてた?」
彼女の柔かい雰囲気、肩にかかる烏色の髪がゆるやかなウェーブを描いている様子に、目を見張った。彼女は私に微笑みかけ、安心させてくれた。待っていた人だった。スカーレットは、父親の影響でモーターサイクルクラブの世界で生まれ育った。私が帰ってきた時、コルトは「彼女は信頼できる」と言ってくれた。
「昨日はよく眠れた?」
「うーん、」それしか言えなかった。
「もし何か困ってることがあれば…」スカーレットが言いかけたが、すでに私の答えを知っているようだった。
「ないわ」
「赤ちゃんを危険にさらしたくないでしょ」彼女は私の言葉を遮った。「安全だとは言えない。分かってるでしょ?」
「わかってる」
「私は看護師よ?」
「わかってるってば」
私はまた窓に目を戻した。
「またあなたを失ったわ」スカーレットが言った。
「ごめんなさい」床を見下ろし、足元でつま先がくしゃっとなるのを見ながら、私は話し始めた。「雨がね。私に思い出させるの」
「無理して話さなくていいのよ」
その記憶が頭から離れなかった。「あそこにいた時、雨がたくさん降ってた。なんか…ただ空を見上げて、雨が顔に降り注がない日が来るのかな、って思ってた。湿った地面を見るたびに、赤いもの…血が混ざっていない地面を見る日が来るのかなって」
「もう安全なのよ、サマー。家に戻ったんだから」
私の家。ここは本当の家じゃない。でも、町の向こう側にある葉巻の煙とエリオットのコロンの香りが漂う、あの空っぽの邸宅も私の家とは言えなかった。
少なくとも、スコープの家に住んでいると、慣れ親しんだ人たちや心配してくれる人たちに囲まれていた。
すべてが同じように見えた。何事もなかったかのように、まるで私はここにずっといたかのようだった。でも、何もかもが…何もかもが違う気がした。
座り込んで、突然新しい始まりの感覚に包まれた。今、私のお腹の中には、赤ちゃんが育っている希望の光があった。私たちの赤ちゃん。
コルトの目が脳裏をよぎった。その目は私の心を高鳴らせ、手に汗を握らせるものだった。
新しい始まりだ。
私たちの始まり。
帰ってきてから警察署の外で彼に抱きしめられて以来、5秒も会えていなくても、彼とスコープが新しいクラブをゼロから作り上げて自分たちの力を証明するのに忙しい日々を送っていても。私たちの始まりに変わりはない。
古い人生はもう終わりだ。エリオットも、偽りの世界も、私には必要ない。
熱いお茶をすすると、口の上がヒリヒリと熱くなる感覚が気に入った。
興奮が血管を通り抜けていく。これが私が生きるべき人生であり、私を大切に思ってくれる人々と共に歩むべき人生だ。
久しぶりに、生きていると感じた瞬間だった。
コルト
タバコの煙が部屋に充満する。テーブルは満席だった。ロード・オブ・カオスのミーティングと同じくらいに。クラブは狭かったが、8人全員が最後までやり通す覚悟だった。ただ、一つルールがあった。心臓が動いている限り、こいつらの血は俺のものだ。新入りの見習いー脂ぎった長髪のガキでさえも、本物のカオスに参加するのを待ちきれない様子だった。
俺の左に座っているスコープの膝がガクガクと震えているのを感じた。久しぶりに本物のアドレナリンが必要だった。もちろん、このクラブを立ち上げるためにはクソみたいに手間がかかったが、今はビジネスを始めるときだと感じた。
今やバイパーズは解体されて、バイパーの入れ墨も完全に封印された。やっと、ずっと俺のものだったものを取り戻すことができた。
ただ一つ問題があった。それは、バイパーズが女性の人身売買をしている間に、他のクラブや犯罪志願者がロード・オブ・カオスの縄張りに入り込んでいたことだ。
あのクソ野郎どもは、誰の土地に無断で侵入していたのかを知ることになる。
「今夜だ」グラスを持ち上げ、俺は言葉を続けた。「ここが俺たちの縄張りだってことを、やつらに教えてやるんだ」
他のグラスも一斉に上がり、男たちは呟いた。「やったぜ」とか、「おお、そろそろだな」とか。そして、乾杯をした。
「簡単に取り込めるだろ。やつらは俺たちなしでは生きていけない。それだけのことだ」
「誰も俺たちにノーと言えないぜ」と、見習いが笑いながらもう一杯ウイスキーを注いだ。そいつの不細工な顔を睨みつけながら、彼が一気に飲み干すのを見つめた。
あのクソ野郎の名前は何だ? ヘダー? ホダー? そんな感じだった気がする。
そいつは再びボトルに手を伸ばした。
「ヘダー、そのウイスキーを置け」そう命じた。
「ハンター」
「あ?」
「俺の名前だ。ハンターだって言ってんだろ」
へぇそうは見えないがな。
「お前の名前なんてどうでもいい」再び、そいつが緊張したのを見逃さなかった。「黙ってきちんと指示を聞け」俺の視線はスコープに向かった。「おい、お前らもわかったな」
サマー
今夜、来る?
コルト
無理だ。殴り込みに行く
サマー
え?
サマー
わかったわ
コルト
そっちは何も問題ないか?
部屋から出て行くやつらを見ながら、ためらいがちに手に持った携帯を見つめた。そして、スコープに向き直った。
「スカーレットは今夜、サマーと一緒にいるのか?」
「いや、彼女には仕事がある。俺がサマーと一緒にいるつもりだ」
「だめだ、お前は行け。俺がサマーと一緒にいる」
「断る」
「本気だ。お前は行けよ」
スコープは不安げな目をこちらに向けた。彼はビジネスをしたくてたまらなかったが、サマーに対しては、これまでの人生で見たこともないくらいに気を遣っていた。
「任せとけ、スコープ」彼は最終的に頷いた。
「今夜、外で何かあっても見習いを殺すなよ」ドアを通り抜けながら言った。
「約束はできない」
***
くそっ、なんでこんなに雨が降ってるんだ。閉まったドアをもう一度ノックすると、サマーが開けてくれた。マジで息が詰まりそうだ。
白いトップスが陶器のような肌にぴったりと張りつき、長い髪が肩にかかっていた。
「はい」彼女の言葉に続いてドアが開いた。
サマーが何か言う前に、俺は彼女を抱き上げて中に運び込み、背中でドアを閉めた。
「殴り込みじゃなかったの?」
「あいつらが行った」
彼女の唇に自分の唇を重ね、彼女の味を噛みしめた。やっぱり、俺は中毒だと思い知らされた。「行きたいなら…行ってもいいのに」
「お前と離れての3ヶ月は、あの13年の刑務所生活よりも辛かった。もうお前から離れないよ」
彼女は大きく目を見開いた。そして、今まで感じたことのないほど柔らかい手で俺の顔を包み込み、もう一度キスを交わした。
「あなたがここにいてくれて嬉しい」
「早く来れなくて悪かった。クラブの仕事が―」
「大丈夫」彼女が言葉を遮った。「今ここにいてくれて嬉しいから」
彼女をベッドルームに抱えて入り、ベッドに座らせた。サマーは、今にも壊れそうだった。痛みを隠そうとしていたけど、俺にはバレていた。そんな目を俺は兄弟たちの中でよく見てきた。行くべきではなかった場所から戻ってきたやつらの目だ。
「ちょっと寝ろよ。ほら」俺は仰向けに寝転がり、彼女の体を自分に寄せ、その腕を俺の胸に回させた。彼女の腕が俺の呼吸に合わせて上下するのを見ながらその温もりを感じると、まるで他に何もないかのように穏やかな気持ちになれるのは、本当に不思議だった。
***
目が覚めると、彼女の下にあった俺の手が何か温かいもので濡れているのが感じられた。
くそ、何だこれ。
彼女を起こしたくない。
ランプをそっとつけようとしたが、無駄だった。
光が室内を照らすと同時に、サマーの目がぱっと開いた。
俺たちは同時に血を見つけた。









































