
Yes, Mr.Knight 彼に覚醒された本当の私 7巻
Author
Natalie Roche
Reads
🔥25.3M
Chapters
5
ブレア氏とジョシュアとのビジネスディナーにメイソンと出席していたジェイミー。そこに突然現れたのは、泥酔したライアン。メイソンと家にいるところに出くわして以来だった。自分のせいで仕事も上手くいかなくなるほど傷つけてしまったことに深い罪悪感を感じていたジェイミーは、なんとか普通にライアンを話そうとするが、もちろんライアンはそう出来るわけもなく、またメイソンは自分たちの邪魔をしてくるライアンに対し怒りに震え、ライアンの失言を受け殴ってしまう。メイソンを選んだものの、ボロボロになったライアンを放っておけなかったジェイミーはメイソンを振り切りライアンを家に送ることに―
対象年齢:18歳以上
ふざけるなよ
ジェイミー
「ライアン…どうしたの?」
本当なの?
あんな別れ方をしてしまった以上、私が口にできた言葉はそれしかなかった。
早く何か言わなきゃ。
「ああ、えっと…久しぶりね、会えて嬉しいわ。」
彼はそうは思っていないようだった。
メイソンはその鋭い目で今にも殴りかかりそうにライアンを見ていた。
私はその黒い目をよく知っていた。その目こそ悪評高いボスの目だ。
久しぶりに見る目だった。でも、今は見たくなかった。
「やあ、金曜の夜に一人きりで酔ってるんだ。理由は分かるだろ。」
ジョシュアは私の方へ寄りかかった。「彼がライアンだね。」
私は振り向かずにうなずいた。ライアンから目が離せなかったし、離したくなかった。
メイソンは立ち上がり、一触即発だった。メイソンは舌を噛んでいた。
「どうだったんだ?」ライアンは手をテーブルに置いた。「ボスとヤッてんだろ?」
もう最悪。そんなことをいうライアンを見て、私は胃に穴が開きそうだった。
こんな仕打ちが来るなんて、想像より何十倍もキツイ。
メイソンは席から立ち上がった。歯を食いしばっているのを見るに相当頭にきているようだった。
「失せろ、ぶっ飛ばされないうちにな。」
ライアンはテーブルから手を離し、背筋を伸ばしてメイソンと張り合った。
「ぶっ飛ばす?俺に言ってるのか?あんたは出会う女みんなを操れるかもしれないが、俺は違う。」
私は辺りを見回した。周りの人も異変に気付き始めたようだ。
だが、幸いにも近くにいる客と、そばを通るウェイター以外はまだ気付いていないようだった。
まだ、だけど、すぐ気づき始めるだろう。
メイソンの顔がライアンの顔に近づき、私はさらにパニックになった。
その時、ブレア氏は立ち上がってその場を仲裁しようとした。
「よし、もういいだろう。」ブレア氏は二人の間に立ち、引き離そうとした。「ここですることじゃないだろう。」
「メイソン、お願い。」私が彼の腕をそっと取ると彼は少し引き下がった。
「君が現れてからすべてがおかしくなったんだ。」
ライアンはメイソンを指した。
「彼女を傷つけるのも時間の問題だ。君のことは全部知ってるんだ。この人殺…」
ライアンが言い終わる前に、メイソンは顔面に強烈なパンチを食らわせた。
他の客が息をのむ音がレストランに響いた。みんなが私たちの方を見ている。最悪のパターンだ。
ライアンは床に倒れ込んだ。
彼は地面に横たわったまま、唇の血を拭った。彼の横には倒れこんだ時にぶつかった椅子が倒れていた。
「ライアン!」私はしゃがみこんだ。「大丈夫?」
もちろん、彼が血を流して倒れているのに、ただ黙っているつもりはない。私は常識人だ。
完璧ではないけど。
ライアンに隠れて上司と寝たことを除けば。
「お客様、お会計を済ませてお帰りください。お願いします。」
レストランの責任者はメイソンにそう丁寧に伝えたが、明らかにこの状況を不愉快に思っているのを感じた。
「わかったよ。」メイソンは財布を取り出し、支払いの2倍のお金をテーブルに置いた。
「もう行くぞ、ジェイミー。忘れ物のないように。」
忘れ物のないように、と彼は言った。
でも実は彼はすでに私のコートと財布を手に取り、帰り支度をしていた。
ブレア氏は椅子からスーツの上着を取ると微妙な顔をしていた。
当然のこと、だって仕事の話をしにディナーをするつもりだったわけだし。
ジョシュアは何を話せばいいのかわからないような、気まずそうな表情だった。私は申し訳なくなった。
私は酔い散らかして鼻血が出たライアンを見た。
彼をこのまま放ってはおけない。
「先に行って。私は彼を家に連れて帰るから。」私はメイソンにそう言った。
ジョシュアは私を手伝ってライアンを起こし、テーブルに座らせた。
メイソンは私たちを見つめていた。
「ふざけるなよ、ジェイミー。その男とここにいるつもりか?」
私は彼の腕を取り、他の皆から遠ざけた。
「見て、彼はボロボロよ。唇が腫れてるどころの話じゃないわ。」
私はライアンの方を見た。
「そもそもこうなったのは私のせいよ、彼を放っておけないわ。」
「放っておけよ。君の気にすることじゃないだろ。これはこいつ自身の問題だ。」
「罪悪感があるの。少しでも正しいことをしたいの。」
私はコートとバッグを彼から受け取った。
「弟に電話して迎えに来てもらうわ。そのあと寄るから。」
彼の顔には深く怒った表情があった。
「私がどう思うか分かってるだろ?」
「ごめん、分からない。」
「生意気言うな、ジェイミー。あいつと一緒にいるな。あいつは信用できないし、私を裏切ることになるぞ。」
今度ばかりは自分が主導権を握っていることを示すため、私は彼から目を離さなかった。
「メイソン、これはあなたが決めることじゃない。私は私にとって正しいと思うことをするわ。」
口ごたえしたけど、とても申し訳なかった。
でも、ここでライアンを見捨てるよりははるかにいい。
***
ライアンはジェイクと私に介抱されて、彼のアパートの玄関をくぐった。
車から降りるときにつまづいたけど、あとは弟が手伝ってくれた。
今後ずっとからかわれるネタになってしまった。
それでも見捨てなかったことは正しかったの?わからない。
「ドアを開けるから、部屋に連れて行ってくれる?」 私は廊下の突き当たりにある寝室を指差した。
ジェイクは得意げに首を振った。「貸しができたな、ジェイミー。」
彼は酔っ払ったライアンを抱えて廊下を歩いた。「お前、クソ重いな。」
私はドアを閉め、寝室のほうへついて行った。
途中ジェイクはドア枠に頭をぶつけた。
「大丈夫?ジェイク!」
弟はうずくまった。「大丈夫、ちょっとぶつかっただけだ。」彼はライアンをベッドの端に押し倒した。
「ちょっと、調子に乗らないで」私はイラッとして両手を上げた。「ベッドから落ちないように少し動かさないと。」
「ほら、子どもの時にしてたみたいに彼を転がして。」
ジェイクはライアンを押してベッドの真ん中に転がした。
「これで大丈夫かな?もう行っていいだろ?」
私はベッドの端にきれいに畳まれたウールのベッドカバーをライアンにかけた。
「ええ、もう大丈夫よ。ライアンのお兄さんにはもうメールしておいたから、様子を見に来てくれるはずよ。」
ジェイクと私は一緒にライアンのアパートを出た。私はメイソンからのメールを期待して携帯電話を取り出した。
何もなかった。
明らかに怒っている。
「ボスから電話がこなかったのかな?」
ジェイクはにやにやしながら車に乗り込んだ。私が黙っていたから答えは分かってるくせに、聞き続けた。
「今頃メイソンはイライラしながらペントハウスを歩き回ってるかもな。」
私はシートベルトをカチッとはめた。
「私が彼の命令を聞かなかったからよ。彼にとってこんなことは初めてでしょうね。」私は運転席に目をやった。「私、間違ってなかったかな。」
彼は眉をひそめた。「彼と寝たこと?多くの女性が経験したことだろ。悪気はないんだろ。」
私は舌打ちをした。「いや、そうじゃなくて。ライアンを家に連れて行ったことよ。本当にそうするべきだったのかしら。」
「ジェイミー。君にできることはそれしかなかったはずだろ。やらなきゃやらないで罪悪感で潰されてるよ。」ジェイクは車のキーを回した。「どこに行くんだい?」
何をしても罪悪感に苛まれる気分だ。
あの夜の後、私はただただ眠りたかった。精神的にも肉体的にも疲れ切っていた。
それにメイソンが私と一緒にいる気分かどうかもわからないし、危ない橋はわたりたくなかった。
私は長いため息をついた。「私の家にお願い。」




