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Hated By My Mate 私の大事な人は私が嫌い 4巻

第16章

オーロラ

できる限りの速さでモールを飛び出した。ウルフギャングから離れる必要があった。もう傷つく言葉は聞きたくない。
エマが隣にくるまで、一緒にいることさえ忘れていた。
私たちは通りを走り、気づいたら父とよく遊んだ公園へ着いていた。
私はブランコに座り、うなだれた。低くうなだれた頭はまるで私の自尊心のようだった。
エマは隣のブランコに座った。
泣かないで。彼は本気であんなこと思ってないわ。レアはいつものように私を励まそうとした。
「さっきのこと、説明してくれる?」
エマの質問に、私は首を振った。
「私に言ってないことがあるんじゃない? あのパーティー以来、ずっと様子がおかしいもん。アルファ・ウルフギャングとの間に何があったの?」
私はまた首を振ろうとしたが、彼女はブランコから立ち上がり、腰に手を当てて私の前に立った。
「『何もない』とは言わせないよ。何かあるんでしょ。心配になってきたわ」
エマの目を見れば本当に心配してくれているのだとすぐに分かった。すべてを打ち明けたい衝動に駆られたが、唇を噛んだ。
エマを危険な目には遭わせたくない。
「もしかして……」エマは何かを言いかけて、言葉を切った。
私はパニックになった。もしかしてばれた?
「オーロラ、アルファに片思いしてるの?」
私は思わず息を吐き出し、体の力が抜けるのを感じた。
「そ……」夜の肌寒さを感じ、腕をさすった。
途中までは話してもいい、よね。
「そうだよ」私は恥ずかしさで顔を覆った。
彼を本当に好きだと言ったのはこれが初めてだった。もちろんそう思ってはいたが、口に出すことで現実味を帯びた。
エマは私を強く抱きしめた。
「ローリー、言ってくれればよかったのに」腕は私の肩に置いたまま言った。「彼も同じ気持ちなの?」
私は恥ずかしくてうつむいた。
「違うし、今後も一生そうならないと思う。だからその事実を受け入れて、この気持ちを忘れないといけない」私は目尻に涙が溜まっていくのを感じた。
諦めちゃだめ!レアが頭の中で叫ぶ。
「まだ諦めないで、ローリー!」エマからも同じ言葉が聞こえてきた。
「パートナーではないかもしれないけど、まだ諦めないで」とエマは続けた。「もしかしたらアルファの仕事で忙しくて、ローリーの気持ちに気づいていないだけかも。本当は相性いいかもよ?」
エマは私を励そうと、笑ってみせた。
「それはどうかなあ」私は微笑み返した。「ごめん、もう行かなくちゃ」
私は屋敷の方向へ歩き出した。
「今夜電話する。考え込まないようにね!」去り際にエマがそう叫んだ。
私はウルフギャングの言葉を反芻しながら、うつむきがちに屋敷に戻った。
タルーラは彼のパートナーにふさわしい。私よりも、誰よりも。
今日は自分の部屋に直行して、1日閉じこもろうと考えつつ、ドアの前に立っていた衛兵に挨拶した。
しかし、たまたま通りかかったアスペンに呼び止められた。
「ローリー、初めての休日はどうだった?」
「最高だった」嘘をつくしかなかった。
思い描いていたとおりの休日ではなかった。
前日の夜は心休まらなかったので、休日はモンタナと一緒に映画を見たり、おしゃべりしたり、狼の姿で走りに行ったりして過ごしたいと思って朝を迎えた。
でも私が家に着くと、モンタナは留守にしていた。突然視察の命令が出たのだ。
ありがたいことにエマが来てくれたので、映画を見に行ったり、ショッピングモールをぶらぶらしたりすることにした。こうして楽しむのは久しぶりのような気がした。
でも、彼とばったり会ってしまった。そもそもモールで何をしていたんだろう?
そんな愚かなことをしている暇はない。ルナを選べるなら、タルーラのような価値のある人にする。
彼の言葉が何度も頭の中で鳴り響いた。
「マックスから聞いたわ。偶然マックスとウルフギャングと出くわしたんだってね。しかもひどいことを言っていたって……本当に大丈夫?」アスペンは心配そうに顔をしかめていた。
「もちろん、大丈夫に決まってる」私は微笑み、アスペンを納得させようとした。これ以上の同情は聞きたくなかった。「もう部屋に行くね、今日はすごく疲れたの」
「そうね。おやすみ、ローリー」彼女は私を一人にするのをためらっているようだった。
「おやすみ、アスペン。また明日ね」私はそう言って階段を上った。
4階にまで上りきると、途端に疲労が襲ってきた。昨夜は目すら閉じられなかったのだから当然だ。
お腹も空いていなかったので、お風呂に入って寝ることにした。今夜はゆっくり休めるといいんだけど。
「クレイトンさん?」
うわ。よく知った声がした。
何でここに? オフィスにいるはずじゃ……。
私は階段の下に立っていたウルフギャングの方を向いた。私を追ってきたのだろうか?
気づきすらしなかった。本当に疲れていたのだ。
「何かご入用ですか?」うつむきながら尋ねた。彼の目を見ることができなかった。
「遅刻だ」毅然とした、非難の滲んだ声だった。時計の針は7時40分を指していた。
しまった。
「すみません。こんなに遅くなっていることに気づきませんでした。以後気をつけます」私は頭を下げた。
彼の重い足音が私に近づいてくるのを感じた。
「次はないぞ」私のすぐそばを通り過ぎながら言った。「罰を与える。これから2週間、休みの日でも屋敷から出ることを禁ずる」
「何ですって?」私は声を張り上げ、ようやく顔を上げて彼の目を見た。
彼の顔にはいつものように何の感情もなかった。
「聞こえたはずだ、クレイトンさん。今後2週間、屋敷を出てはいけない」
「でも......でも、モンタナに会えるのはその日だけなんです。そんなことできないわ!」私は怒鳴った。怒りがこみ上げてくるのを感じた。
「できるさ。君は命令に従うことを学ぶ必要がある。俺がここのボスだ。俺がジャンプしろと言えば、高さを聞け。俺が出るなと言えば、いいと言うまでここから出るな」
相変わらず無表情だったが、声には威厳があった。
でも、聞き入れるつもりはなかった。こんなこと許されない。
「嫌です!」私は言い返した。
「何だと?」初めて彼の顔に感情が見えた。彼は驚いていた。
「嫌だと言ったんです! こんなところに閉じ込めて家事をさせて、タルーラといちゃつくところを見せられて……それでなお唯一の家族に会える日を奪われるなんて信じられない」
「いちゃつく? 俺がいつタルーラといちゃついたって言うんだ?」彼はその大きな胸の上で腕を組んだ。
「いつもよ! タルーラに触られているあなたを見ているしかない。気が狂いそうになる! 私に興味がないなら、早く私を拒絶して、人生をやり直させて!」
言い終わる頃には息も絶え絶えだった。大声を出してしまったが、幸い4階にいたので誰にも聞かれずに済みそうだ。
彼の手が私の頬を撫でた。彼の指は、私が流したとも知らない涙を拭ってくれた。
彼はこちらに近づいてきた。私は後ずさりしたが、気がつくと寝室のドアに押し付けられていた。
ミントの香りのする息が、肌にかかる。青い瞳が輝き、私の瞳を見つめた。
何の前触れもなく、彼との距離が縮まった。そして彼の唇が私の唇に重なった。
驚いたのも束の間、私はすぐにキスに答えた。欲望が理性を凌駕した瞬間だった。
私たちの肌が触れ合ったところから火花が噴き出しているようだった。
これがパートナーの引力だった。
しかし、始まったと思いきやすぐにキスは終わった。ウルフギャングは後ずさりし、私を見つめた。
「俺がここのボスだ、オーロラ。いつ君を拒絶するかは俺が決める。タルーラといるところを君に見せつけたくなれば、そうする。俺がいいと言うまで君には何も言う資格はない」
彼は再び無表情になった。
「今週から週休2日だ。次からは時間通りに戻れ」
そう言うと、彼は私の横を通り過ぎて部屋に入り、部屋から出てくることはなかった。
私はどうにか気を取り直し、自分の部屋に入ってドアを閉めた。
その瞬間、この8日間に起こったことが、ものすごい勢いで脳内に蘇った。
私は口から漏れる嗚咽を抑えることができず、ドアに手をついて膝を抱えた。
泣かないで。大丈夫だから。レアは私をなだめようとしたが、無視してただ泣き続けた。何でこんな目に合わなければいけないんだろう。
月の女神にこんな罰を与えられるほど、私は前世で何か悪いことをしたのだろうか?
私は泣いて泣いて、ドアの横の床で眠ってしまった。
何でこんなことになるのよ……。
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