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Cover image for Broken Queen ―捨てられた狼女は運命を覆す― 6巻

Broken Queen ―捨てられた狼女は運命を覆す― 6巻

著者
Danni D
閲覧数
🔥30.8M
チャプター
4
著者
Danni D
閲覧数
🔥30.8M
チャプター
4
😱Thriller🐺Werewolves & Shifters💔Rejected Mate👩‍❤️‍👨True Mate🔺Love Triangle💘Fated Mates💪🏻Protector🧙‍♂️Paranormal & Fantasy💪🏻Alpha Males💪Strong Women🥵Erotica⚔️Action & Adventure👑Royalty & Aristocrats🐺Paranormal

この巻は「Broken Queen ―捨てられた狼女は運命を覆す― 5巻」からの続きです。

群れのために

アレックス

俺は森の外周を歩きながら、はぐれ者の臭跡をとらえる。ドムはハネムーンの初日なので、俺の命令はまっすぐデイヴ将軍に届く。俺の思考は今日の出来事に戻っていく。
ローラを落ち着かせた後、ゲストルームで休むよう説得した。
アリエルが護衛の任務を怠ったことがいまだに信じられない。彼女はこの任務を嫌がるだろうとは思っていたが、誰かが重傷を負っていたかもしれない。あるいはもっと悪いことが起こっていたかもしれない。
ローラがここにいることに嫉妬しているだけなのか?
まったく彼女らしくない。
母が護衛任務を持ちかけたとき、俺はいい考えだとは思わないと母に言った――とりわけ、俺と……アリエルとの間にあったことを考えれば。しかし母は、ローラは女性の護衛のほうが安心できるし、アリエルは最高の護衛の1人だと言い張った。
この苦しい状況で、今なお身を引き裂かれるような思いだ。
タフで予測不可能なアリエルを、俺は知らず知らず信頼するようになった。そして、彼女に対してほかの感情を抱いていたことも否定できない。しかし、王室の招待客の護衛を意図的に怠ったことで、彼女の別の一面が明らかになった。執念深いといえるだろう。
思っていたより彼女のことを知らないのかもしれない。
一方のローラは、優しくて思いやりがあり、オリヴィアを彷彿とさせ、心を奪われる。だが、俺が見ているものが本当に目の前にあるものなのか、それとも願望が見せる夢想なのかはわからない。
彼女は明らかに俺に好意を持っているし、母も彼女を気に入っているようだが、あまりにあっという間で考える時間がないように感じる。
そしてオリヴィア、俺の美しく優雅な運命の伴侶……彼女ならこの状況をどう思うだろうか。
リヴ……どうすればいいのか教えてほしい……。
俺は自分の考えに対して頭を横に振った。これは優先事項ではないはずだ。あらゆる場所にはぐれ者の匂いがすることがわかっているのに。
しばらく姿は見ていないが、気になるのはその数だ。全戦士を会議に招集する必要がある。
***
俺が戦士たちの前に立ち、分隊長たちが会議室の最前列の椅子を占めている。アリエルは一番後ろに座り、腕を組んで眉間にしわを寄せている。俺は一瞬彼女の目を見たが、彼女は目を怒らせて逸らした。
デイヴは将軍として俺の隣に立ち、領地の地図を引き下ろした。
「おはよう」俺の言葉で、部屋は静まりかえった。「この会議を招集したのは、群れ境に残っているはぐれ者の匂いについて話し合うためだ」
「今後数日間、周辺警備を1シフト2分隊に増やす。全員の出勤時間が増えることになるが、今日の事件を考えて警戒する必要がある。ここからはデイヴ将軍に引き継ぐ」
デイヴが前に出る。「君たちの多くが知っているように、今日また町ではぐれ者による襲撃事件があった。アリエルは適切なタイミングで適切な場所にいて、脅威を取り除いた」
口笛と拍手が広がって、アリエルの適切な対応を讃える。彼女は何も答えない。ただ、腕を組んだまま床を見ている。
「もういいだろう」デイヴは戦士たちをコントロール下に戻す。「アリエルはよくやったが、彼女がそこにいたのは偶然だった。彼女がいなければ、もっと違う結果になっていたかもしれない」
デイヴは言葉を切って、言葉の意味を十分に理解させてから続ける。「はぐれ者が町の中まで侵入するなどありえないはずだったが、どういうわけか境界警備隊の目をかいくぐった」
「そのため、周辺警備を1シフト2分隊に増やすことに加え、営業時間中は町の中央に一個分隊を配置し、群れ全体に対して、戦士以外の者に厳しい夜間外出禁止令を出すことにしている」
デイヴの目が戦士たちを見渡す。
「このはぐれ者の行動がいかにおかしなものであるかは、言うまでもないだろう。たいていのはぐれ者は襲撃後に移動するものだが、我々はこの数カ月間、ずっと同じ集団に対処している。
最初の襲撃ではぐれ者の匂いを12匹ほど数えた。その後の襲撃で、少なくとも半数を無力化したが、最低でも6匹はまだコソコソ嗅ぎまわっている」
デイヴは一息ついて命令を下す。「厳戒態勢を保ち、互いに注意し合うこと。戦士たちは分隊長に新しいパトロールの割り当てを聞いてくれ。解散」
すべての戦士が新しい任務に就いたあと、俺は廊下でアリエルを待った。彼女はスティーヴの分隊の最後に出てきた。
「アリエル」俺は通り過ぎようとする彼女を捕まえる。「ちょっといいか?」
彼女はため息をつくと、せっかちな子どものように俺の前に立った。
「何?」アリエルはムスッとして言った。
「話したいことがある。今朝起きたことについて」
「護衛任務中にはぐれ者が町の人を傷つけようとしたのを止めました」彼女はつんとして言う。「ほかに話すことはありません」
「アリエル」俺は口を開く。「ローラの護衛をしたくなかったのはわかるが」アリエルは俺がその名前を言うと目を剥いた。「だが、彼女の護衛として最高の仕事をしていたとは思えない。なぜはぐれ者があそこまで近づいたんだ?」
「アレックス、言ったでしょ!」彼女の声は早くも上ずった。「彼女が私の話を聞こうとしなかったの!」
「危険だと警告されているのに、聞かない人間がいるか? アリエル、筋が通らない」
「それなら、筋が通らないってことね!」彼女は吐き捨てるように言った。「はぐれ者の匂いを嗅いだ瞬間、彼女を安全な場所に連れて行こうとしたって言ったでしょ。あなたがほかに何を聞きたいのかわからない」
「アリエル、何があったかローラが話してくれた。彼女が嘘をつく理由はない。君は気が散っていたのか、それとも……」
「それとも何?」彼女は俺を睨む。「私は戦士よ! 私は客の護衛を命じられ、自分の仕事をした! わざと誰かを危険にさらすようなことはしない!」
俺は首を横に振る。「ああ、もうわかった」
がっかりして背を向けようとすると、またアリエルの声がした。
「アレックス」アリエルが言う。「彼女には何かある」
俺はもう一度彼女のヒマワリのような目を見た。「何の話だ?」
「ローラはあなたを利用しているのよ、アレックス。理由はわからないけど、あなたの気持ちにつけ込んでいる」
「どうしてそんな話になるんだ?」俺は本当にわけがわからなかった。
「彼女は嘘つきなの!」
「アリエル、ローラは王室の客だ! 言葉に気をつけろ」彼女を注意する。
「お願いだから、目を覚まして!」アリエルはもう完全に叫んでいる。「彼女は羊の皮を被ったアバズレに過ぎない!」
「アリエル、君の立場をわからせたいわけじゃないが、口の利き方に気をつけろ!」俺はピシャリと言った。「嫉妬心に負けているぞ」
彼女は嘲笑う。「そんなもの、今は何の関係もない」
「あのな、俺たち……少なくとも、俺は俺たちが……」言葉が出なかった。「君は心が狭い」
「亡くなった伴侶のことを乗り越えられないから、かわいいブロンド娘に執着しているだけでしょ!」
一瞬、息ができなくなった。
アリエルの顔がハッとしたようになり、彼女はそっと声を出す「アレックス……」
これ以上聞きたくない。
「もう行け、戦士よ」俺は冷たく言った。「行ったほうがいい。午後は周辺警備だ」
「アレックス」彼女は何か言おうとしたが、話は終わった。
「もう行け」
「はい、アルファ」彼女は俺と同じくらい冷たい口調で言って歩き去った。
***
俺は自分の部屋のソファに1人で座っていた。5杯目のビールを飲んでいるが、飲んでも気分がよくならない。何が起こっているのか、どう考えていいのかわからない。アリエルに……ローラに……。
サイドテーブルのオリヴィアの写真を手に取る。彼女の紫色の瞳と優しい微笑みが胸に突き刺さる。彼女は優しさと忍耐の手本のようだった。完璧なルナ。完璧な伴侶。
俺たちが伴侶だとわかったとき、俺は女神に感謝した。まるで運命のピースが完璧にはまったかのようだった。彼女の優しさと光に満ちた人生を楽しみにしていた。
彼女の写真に涙が落ちる。ここで話し合える人がいればよかったのに。
(よりによってベータが新婚旅行中だとは……)
ドアをノックする音が聞こえた。
「アレックス?」母の声がして、ドアが開く。「入ってもいいかしら?」
「もちろん」俺は微笑みながら答えた。
「私のアルファの調子はどう?」
「あまりよくない」
母は俺がオリヴィアの写真を持っているのに気づいた。
「大変なストレスを受けているのね」母は俺の手を取って言う。「ルナがそばにいないと、このような時期を乗り越えるのは難しいわ」
「俺にはルナがいたんだ、母さん」
「わかってるわ。でももういないのよ」母は優しげな口調で言う。「彼女はあなたが過去に囚われたままでいることを望んでいないと思うわ。わかっているでしょ?」
わかっている……ただ、心の準備ができているのかどうかわからない……。
「あなたは幸運にも運命の伴侶を見つけたのよ、アレックス」母が付け加える。「その喜びを知らない人もいる」
母は経験から言っているのだ。母と父は運命の伴侶を見つけることができなかった。父にアルファの座が回ってきたとき、父は選択を迫られた。ルナと一緒に群れを治めるか、群れを弱体化させるか。父と母は群れを優先することを決めた。
「あなたは悩んでいるんでしょう」母が言う。「群れの人々のために全力を注げるように、あなたと一緒に群れを治めるルナが必要よ」
俺は頷いた。母が正しいことはわかっている。母はいつも現実的だ。
「ローラは完璧な伴侶よ。わかるわよね?」母は言い添える。「彼女は王室の生活がどのようなものかわかっているし、あなたにすっかり夢中よ」
「母さん……」俺は口を開いた。
「私は群れのために何が最善かを考えているだけよ、アレックス。あなたは群れの民との対話にすべて対応できるわけではないし、おまけに警備の問題にも対処できていない」
母は俺の手を強く握る。「あなたはあまりにも長い間、1人で両方を担ってきた。民との対話を任せられるルナがいれば、あなたはこの群れを統率し、守ることに専念できる」
母は黒いベルベットの箱を取り出し、蓋を開けた。虹色に輝くムーンストーンのネックレスが現れる。
それが何なのかすぐに気づいた。
ロイヤル・パックの家宝で、初代アルファが妻のために作り、以来、各世代のルナに受け継がれてきたものだ。
結婚を決めたとき、俺がオリヴィアにあげたネックレスだ……。
「あまりにも長くしまってあったわね」母は言い、箱から取り出して俺の手に置いた。「ローラに渡してほしいの。婚約の贈り物としてね」
俺は視線を落として、手の中の美しい宝石を見つめた。光が反射して、あらゆる色に輝いている。
これを見て考えられるのは、オリヴィアの首の周りでどれだけ完璧に輝いていたかということだけ。
「群れのためよ」母は最後に言った。
心が沈む。
たとえローラを伴侶にしても……。
このネックレスが別の女性の首にあるのを見ても、耐えられるだろうか?

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