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Hated By My Mate 私の大事な人は私が嫌い 3巻

第9章

オーロラ

私は最後の荷造りを終え、正式に屋敷に引っ越す準備をした。でもそこは私が一番行きたくなかった場所だった。
ただ消えてしまいたかった。大きな穴を掘って、その中にずっと隠れていたかった。
良いこともあるわよ。レアは言った。パートナーに近づけるじゃない。
「冗談でしょ?」私は大声を出した。「どんな顔すればいいかも分からないよ。だって、あんな風に思ってたなんてバカみたい」
彼が私をパートナーとして認めてくれた、だなんて。
泣きそうになったが、必死にこらえた。
「荷造りは終わった?」
振り返ると、モンタナが悲しげな顔でドアの前に立っていた。
私は立ち上がり、彼女の肩に顔を埋めた。
「どうしてこんなことになったのか分からない」
「ローリー。私にも理解できないけど、アルファからの命令だからね。従わないと、私たち二人とも罰を受けることになるわ」彼女は私の頭を撫でながら言った。
「でも、屋敷なんかに住みたくない。私の家はここだもの!」私は言い返した。
「もちろん、これからもそうよ。きっと時々帰ってこれるわよ。でも今は行くほかないわ、アルファの命令だから」
「こんなこと有り得ない。モンタナを一人にしたくない」本心だった。
モンタナと私はいつも意見が合わなかったけれど、父が死んだ後、私を育てて面倒を見てくれたのは彼女だった。
「私は大丈夫よ。きっとアルファのお許しが出てまた会えるから」
本当にそうだろうか。
「下に持っていくのを手伝うよ。アルファが怒る前に行ったほうがいい」
あの男が怒ることについて考えてみた。
それで何が変わるというのか。結局のところ、彼はいつも怒っている。
それでも私はうなずき、自分の荷物を階下に運んだ。これが最後かもしれないと思いながら自分の家を見回す。
玄関の外に立ち、巨大な屋敷を見上げた。威圧感のある光景だった。
モンタナが私の肩に手を置いた。
「大丈夫よ、ローリー。ここはいつまでもあなたの家よ」 モンタナの励ましに、思わず駆け寄って彼女を抱きしめた。
モンタナも同じくらい抱きしめてくれた。
「口喧嘩できなくなって寂しいよ」そう言うとこらえきれずに涙が頬をつたい、モンタナの肩を濡らした。
彼女は軽く笑ってみせた。
「朝、あなたを起こせないのも寂しいわ」と彼女は言った。「元気でね、ローリー」

ウルフギャング

今なら分かる。俺は正気を失っていた。
なぜあんなことをしたんだろう?
昨夜、彼女が村から出ることを禁じたと思えば、今度は俺の専属メイドになるよう命じたのだった。
目の前にいるガンマの顔に困惑の色が浮かんだ。俺自身も混乱していたが、彼女を監視なしで野放しにするわけにはいかなかった。
村を出て行こうとしていたことを知ってしまった以上は。
しかし、村を出ようとしていることを知って、なぜあんなに怒りが込み上げたのだろう。
そもそも気にする必要すらない。彼女をパートナーにする気がないのだから。
彼女のこと好きだからだろ。クロノスの声がしたが、すぐにシャットアウトした。
「本当にいいのか? 前に制服を盗んだと思わしきメイドのことだろう?」リーマスは、俺が正気かどうか確かめているかのようだった。
「そうだ」オーロラのすべての情報が入ったファイルに目を向けたまま答えた。
すべてだ。誕生日から高校卒業証明書まで。そしてそれらはすべて、ひとつのことを物語っていた。
この子は普通の女の子だ。
「挙句の果てには彼女をメイドとしてこの屋敷に住まわせたいのか?」リーマスはまだ納得していないようだった。
「俺の言葉が聞き取りにくかったか?」
「でも、廊下の部屋を貸す必要があったのか? メイドなら、1階の使用人部屋があるだろ」
「メイドの部屋ぐらい知っているが、あいつを監視しておく必要がある。だから彼女はこの階に住むんだ。わかったか?」堪忍袋の緒が切れ、机を叩きながら叫んだ。
「厳重に見張る、か?」感情を爆発させすぎた。ガンマは鋭いので、何かを察知されそうだった。
「彼女が本当に泥棒かどうかは分からない。あの夜、彼女は取り乱したと言ってた。ひとまず大目に見て、メイドとして雇おうと思ったんだ」
オーロラに対する関心が見え隠れしないよう、声の調子を一定に保った。
「それなら、彼女を監視する戦士を雇ったらどうだ? この屋敷に住むとなると、ここにある貴重な財産も全部使いたい放題になるぞ」
こいつはオーロラが泥棒だと本当に疑っているのではないかと思うと、怒りが込み上げた。
お前のせいなのにな。クロノスがまたぶつぶつ言っている。
「いや、俺が彼女を見張る」
その口調を聞いて、リーマスもそれ以上の質問をやめた。
「わかった」とだけ答え、リーマスは他の仕事に取りかかった。
席に戻り、適当に書類を漁っていると、オーロラの継母であるモンタナについての書類を見つけた。彼女は一族の中での選りすぐりのシーカーだった。
それから、彼女の父親が亡くなったときのことが詳しく書かれた書類を見つけた。
彼女の父は俺の父と同じ日に亡くなっていた。
私たちは同じ日に、残された唯一の家族を失ったのだ。
違いがあるとすれば、俺はすでに成人していたが、彼女はまだ7歳だったことだ。
俺は彼女の写真を手に取り、その大きなグレーの瞳をじっと見た。
「オーロラ・クレイトン、一体これから何をしてくれるんだろうな」

オーロラ

「お待たせ。ここがあなたの新しい家よ」階段に続く大きな廊下を通り抜け、カラさんが言った。「きっと気に入るわ」
笑顔を返したが、私はただ家に帰りたかった。
階段の下でベータとガンマに会った。
「ついにお出ましだ!」金髪の男が叫んだ。彼はこちらに近づき、私のスーツケースを掴んだ。
「ようこそ、オーロラ。アルファが専属で雇ったメイドさんに会うのを楽しみにしていたよ」握手だろうか、手を差し伸べられた。
「ベータ・マキシマスさん、こんにちは」お辞儀をしようとしたが、途中で止められた。
「かしこまる必要はないよ。マックスって呼んで」ウインクしたかと思うと、ガンマに突き飛ばされた。
「もう十分だ。怖がらせちゃってるよ。改めてクレイトンさん、ガンマのリーマス・ボーマンだ。ようこそ、リーダーの家へ」
彼は眼鏡を鼻にずり上げながら話したおそらく癖なのだろう。
「ありがとうございます、ガンマ・ボウマンさん」と私は答え、彼に頭を下げた。
「君にはアルファへの食事の配達と、毎朝夜明け前に洗濯を終わらせて服を届ける係をお願いしたい。いいね?」
リーマスは眉をひそめ、私を見た。
「はい……でも、どうして?」と私は尋ね、カラ夫人に向き直った。「なぜアルファは私を専属メイドにしたいのですか?」
私は3人を見回したが、誰も答えを持っていないようだった。
「俺がそう言ったからだ」頭上から低い声が響いた。背筋がゾッとした。
全員で階段の最上段を見上げると、そこには氷のような目で私を睨みつけるアルファがいた。
リーダーを見て、全員頭を下げた、口を揃える。
「アルファ・ウルフギャング」
アルファが目の前に立つと、恐怖で震えずにはいられなかった。
もし彼に殴られたり、命令に疑問を持ったことで罰されたりしたらどうしよう?
「それで問題ないか、クレイトンさん」
少しの間彼と目が合ったが、すぐに自分の足元に目を落とした。シャツの裾を触らずにはいられなかった。
「はい、問題ありません」と私は何とか言った。
「よろしい。こちらへ」彼は背を向け、私だけを階段まで案内した。
廊下を歩いて右に曲がり、巨大なマホガニーの二重扉の前で止まった。
ウルフギャングは鍵を取り出して扉を開け、中に入った。私も緊張しながら彼について行く。
その部屋の壁は濃い青で塗られ、とても上品だった。左側の壁には大きな書庫があり、天井まで本で埋め尽くされていた。
書庫の前にはL字型の革張りのソファと、素敵なティーテーブルが置かれていた。一番奥にはベルベットのような美しいカーテン付きの大きな窓がある。
窓の前に置かれているのは巨大なデスクで、書類やペンなどが積み重なった片側にMacが置かれていた。
椅子は革張りの大きなものと、来客用の小さな木製のものが2脚。
壁には歴代のアルファたちの肖像画が掛けられていた。
ここは彼のオフィスに違いない。
アルファ・ウルフギャングは大きな机の周りを歩き、座った。私は座るか座らないか迷って、机の前に立つことにした。
「さっき言ったことを覚えているか?」
「仕事は明日から、ですよね」さっき聞いた言葉を必死に思い出した。「朝6時にコーヒーを飲んで、服の準備は7時まで。朝食は8時半までに部屋にお持ちします」
彼はいつものように無表情にこちらを見ていたが、その目にかすかな感情が宿った。認めてくれたのだろうか。胸が高鳴った。
「朝食の間、君は俺のベッドを整えて、俺の洗濯物を持って行ってくれ。コーヒーは11時にもう1杯飲む。昼食は1時までにアルファの食堂に用意してほしい。場所はカラさんが教えてくれる」
私は内容を覚えようと必死だった。
「昼食の後、俺はパトロールに出る。屋敷の敷地から出なければ、夜は好きなように過ごしていい。夕食は7時ちょうどに食堂に準備してくれ。いいな?」
私はうなずいた。
「頷くだけじゃなくて、言葉でも話してほしい。いいな、クレイトンさん?」
「はい、わかりました」
「よろしい。じゃあゆっくりしてて」
そう言うと、彼は机の上の書類に目を向けた。
私はその場に立ち尽くし、一歩も動けなかった。聞きたいことがあったが、どうすればいいのかわからなかった。
「何かわからないことがあったか?」彼から尋ねてくれたが、声からは怒りを感じた。
「いえ……モンタナのことを聞きたかったんです。継母のことです」
「モンタナがどうした?」こちらを見向きもせずに言う。
「これからもモンタナに会えますか?」
彼は読んでいた書類を置き、私をしばらく見つめた後、ファイルに目を戻した。
「日曜日に会える。日曜日は休みだからな。もう行っていい。明日から頑張ってくれよ」
その言葉を聞き、やっと一人になれることに安堵した。「はい、わかりました」
私はオフィスを出て、長いため息をついた。
きっとうまくいくわ。レアは元気づけようとしてくれている。
私は新しい家の豪華な廊下を歩きながら、ポジティブなことを見つけようとした。
そうだといいなあ。
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