
夜が更ける頃に ―米国実業家の秘密― 10巻
Author
Nureyluna
Reads
🔥42.6M
Chapters
6
この巻は「夜が更ける頃に ―米国実業家の秘密― 9巻」からの続きです。
第39章
ジャスミン
私は血液検査をしているフィンリー医師を見た。なぜ彼が血液検査をしたがったのかわからなかった。
「先生、大丈夫ですか?」と私は尋ねた。
「はい、ギブソンさん。おめでとうございます」と彼は言った。
「"おめでとう"?」
「報告書によると、すべて正常で、あなたは妊娠しています、ギブソンさん」
私はまばたきをした。
「妊娠?」私は嬉しそうにフィンリー医師に尋ねた。
フィンリー医師は70代だろう。優しい、おじいさんのような人だった。
「そうです。妊娠しています。念のため、血液検査で確認しました。ジェファーソンさんも喜んでいるでしょう。おめでとうございます。これから頑張っていきましょうね」
彼は私の手に手を置いた。私は口を開けたり閉じたりした。何を言えばいいのかわからなかった。私たちは子供を持つことについて話したことはなかった。
「どうして・・・えっと、私は妊娠していないと思う。何の変化も感じなかったから」 と私が言うと、彼はクスクスと笑った。
「意外だろうけど、君は妊娠しているんだよ。物事は適切な時期に起こる。運命で定められていて、そして今、それが起こり、あなたを驚かせた。
心と体にストレスを与えないでくださいね」
これについてはジェファーソンさんと話し合ってください。私は彼に言わないから、今すぐ話すかどうかはあなた次第。でも、彼に話すことをお勧めします。彼は知る必要があるんじゃないかな。彼にこのことを秘密にしておかないでくださいね」
私が頷くと、彼は微笑んで部屋を出て行った。彼の言葉が頭の中で鳴り響き、私はドアを見た。このことをセオドアにどう伝えたらいいのかわからなかった。
私たちは将来のことを話し合ったことはなかった。ドアが開き、セオドアとテアが入ってくると、私の心臓の鼓動は速くなった。
私は二人が私に向かって歩いてくるのを見た。私は息を飲み込んだ。
「気分はどう? 緊張しているの?」セオドアが尋ねた。
「大丈夫、フラワー?」テアは尋ねた。
「大丈夫よ、テア」セオドアは私の表情を見て、テアの頭に手を置いた。
「テア、ジャスミンと話があるんだ。シェリーと一緒に外で待っていてくれないか?」セオドアは尋ねた。
テアはセオドアを見てから私を見た。
「わかったわ」彼女は私を見てうなずき、その場を去った。
「フィンリー先生は何て言ってた? 報告書にはなんて書いてあったの?」
彼が腕を組んで私の答えを待っている間、私は唇を舐めた。
「セオドア・・・」
「どうした? 大丈夫なの?」
「うん・・・何も問題はないって」
「じゃあ、なんで緊張してるの? 何かあったの? なんで何も言わないの?」
「フィンリー先生が・・・私、妊娠してる」私の声は小さく、なぜかセオドアの表情が怖かった。
彼はまばたきをした。
「私たちはこのことについて話し合ったことがないし、赤ちゃんを産む必要もないこともわかってる。これは予定外のことだし・・・」
「ジャスミン・・・」
セオドアは私の肩を抱きながら言った。私は彼の目を見て、落ち着こうとした。
「深呼吸して」
私は深呼吸を始めたが、心臓の鼓動は早かった。
「このことを話し合ったことはなかった。でも、私はあなたに対して・・・私たちの今後について真剣に考えてる」
「俺も君を愛してるし、将来を真剣に考えている。離れたくない。ずっと一緒にいたい。どうなるかわからないけど、君のそばにいたい」
彼は私の顔にかかる髪の束をおさえた。「予定外なのはわかってるけど、赤ちゃんをこの世界に迎える準備はできてる。赤ちゃんを産んでくれとプレッシャーをかけたくはないけれど。
時間をかけて決断して。君がどんな決断を下しても、俺は君と一緒にいられて幸せなんだ」
彼はそっと私の手を取り、キスをした。私は何を言えばいいのかわからず、まばたきをした。彼は目を閉じ、私の額に額を当てた。
「君は妊娠している」と彼はささやいた。私の手を強く、しかし優しく握ったセオドアの手は少し震えていた。
***
「どうぞ」シェリーがパイナップルジュースを渡してくれた。
「ジェファーソンさんは朝早くどこに行ったの?」
私はできたてのジュースを一口飲んで答えた。「彼は仕事があったのよ」
彼女は頷き、テアとミックのところに行った。
「何か必要なものはある?」ブリエルが部屋に入ってきた。
「ううん、でもジュースをありがとう、ブリエル」
「昼食を用意しました。ダイニングテーブルの上にあります」
「じゃあ、後で食べますね。もう帰るの?」私は尋ねた。
「はい、勤務が終わったので、もう帰ります。孫娘が待っているはずだから」とブリエルが言うと、私は笑った。
「ミックが家まで送ってくれるわ」
「その必要はないです。自分で家に帰れます」とブリエルは言った。
「シーっ、ミックに送ってもらって。でもそれで最後」
私はミックに電話し、ブリエルを家に連れて帰るよう頼んだ。シェリーはテアと遊び、私はゆったりと背もたれにもたれかかった。
あくびが止まらなくて、私はいつの間にか、夢の中で赤ん坊が生まれることを考えながら眠りに落ちていた。
***
私はファイルを渡してくるセオドアを見上げた。
「何があったの? どうだった?」と私は尋ねた。
彼は私の横に座り、ネクタイを外し始めた。
「これは何?」
「開けてみて」
私はファイルを開き、書類に目を通した。ラナが男と一緒にいるのを見て、私は目を見開いた。
残された写真を見ていくと、男がラナに何かを渡していた。どの写真にも、アイリスがラナと一緒に立っているのが写っていた。
「写真が手に入ったのね。次の作戦は?」私は尋ねた。
「もう1組の写真はシャンタヌとザファルに転送したよ。彼らは裁判所に提出するファイルを準備してくれるって」
「どうやって写真を手に入れたの?」
彼は私の髪を弄った。
「数年前、弟はラナが何をしているのか尾行するよう調査官に依頼していたんだ。その調査員はうちの技術会社で働いていた。
その男たちが電話して来てくれて、彼から写真を手に入れたんだ」
私はうなずいた。
「でも、ラナがそれを過去のことだと言ったら? というか、彼女は裁判官の前でそう言うかもしれなくない?」と私は言う。
彼はため息をつき、私の髪を耳の後ろに回した。
「どうしてそんなに心配するの? 俺が何とかするから、何も心配しないでほしい」
私は目を丸くした。
「逆にどうして心配しないの? テアが私たちから連れ去られるのが心配なの。そうなったら嫌なの。彼女と離れたくない」
彼は私の顔を包み込んだ。「そんなことは許さない。誰もテアに触れないようにしてきたし、これからも触れることはない。俺はテアと君を守るためにいるんだ」
彼の視線は私のお腹に注がれた。「そしてこの子も」
私は彼が何を考えているのか分からなかったが、彼は私のお腹から手を離さなかった。
「セオドア」
「どうした?」
「私、決めた」と彼の目を見て言った。
彼は私が話すのを待っていた。私は彼の手を取る前に息を吐いた。
「この子を産みたい」
彼は私の顔を見続けた。
「本当にいいの? 産む準備がまだなら、それも理解するよ。気持ちに素直になってね」
「何も言わないで。赤ちゃんについて話したことはなかったけど、私が赤ちゃんを望まなかったわけじゃない。フィンリー先生から妊娠を告げられたときはびっくりし。
でも、この子は必ず生まれて来てくれる。このこと一緒にいたいの。
私はこの子を産むわ」
私は微笑み、彼に近づいて左頬にキスをした。
「愛してる。私たちがあなたを守るし、できることはなんでもする」と私はお腹の中にいる赤ちゃんに言って彼にキスをした。
この赤ちゃんが私たちにとってどれほどの存在であるか、セオドアは知るべきだわ。セオドアだけが私やテア、赤ちゃんを守れるわけじゃない。私たちはセオドアより強くないかもしれないけど、赤ちゃんを守ることもできる。
「妊娠のことは誰にも言いたくない。タリアとクリストファーには、裁判の後で話そう」
「君の好きなようにしよう」
彼はそう答え、私の額にキスをした。私は彼に近づき、彼の胸に頭を沈めた。彼は私の髪を撫で始め、私は赤ちゃんとこれから先の将来のことを考えた。




