
The Millennium Wolves ミレニアム・ウルフ アルファの野望4
Author
Sapir Englard
Reads
6.0M
Chapters
4
この巻は「The Millennium Wolves ミレニアム・ウルフ アルファの野望 3巻」からの続きです。
タイミング
ゆっくりと、そしてソフトな口付けを心がけ、あくまでシエナにリードさせたかったのだが、もう我慢ができなくなってきた。
あんなに頑固で自分を曲げなかったシエナが...ようやく俺が切実に望んでいたものをくれたんだ。
もう繊細さなどどうだっていい。俺はキスを深め、舌を絡ませ、噛んで、舐めて、探って、彼女の美しいハート型の口の隅々まで味わった。
まるで、サハラ砂漠の真ん中で喉がカラカラに乾いているような状況で、シエナは俺にとってまさにオアシスだった。
もっと彼女が欲しかった。
彼女のすべてが欲しかった。
もう自分だけのものにしてしまいたかった。
本能のままに、俺たちはベッドルームに移動し、俺は彼女をベッドに放り投げた。ベッドに横たわるシエナの姿を見て、俺の中の狼がニタッと笑い、心身ともに準備が整った。
こんなことが起こるなんて信じられなかった。彼女が俺の家に、そして今やお互いの匂いが混ざり合ったベッドの上にいる。もう我慢の限界だった。
彼女の体に覆い被さり、敏感になった首筋のマークに口づけをする。そして舌を滑らせ、軽くくわえ、さらに噛み付いてやりたい衝動に駆られた。
だが、もう抗う必要などない。俺の歯が彼女の首筋に食い込み、彼女が快感の表情を浮かべて叫ぶのが聞こえた。
俺の興奮のあまり視界がぼやけ、何とか自分を保とうとしたものの、シエナが俺の背中に爪を立て、シャツを引き裂いた瞬間、自分を保とうだなんて夢のまた夢だと悟った唸り声を上げ、俺のペニスは雄々しく反りたち、準備は整った。
ズボンに穴が開いていなかったことに驚いたぐらいだ。
彼女をうつ伏せにさせ、ドレスを脱がすと、待ちきれなかった様子で俺の膨らみに自分のお尻を押し当てた。
落ち着け。そう自分自身に言い聞かせた。だが、彼女のパンティに手を入れ、ビショビショになったシエナの入り口に触れた瞬間、自分の考えの甘さを痛感した。
俺は彼女の中に指を1本挿し込む。そしてもう1本。するとシエナは、鋭く息を吸い込み、太ももを痙攣させ、背中を丸め、顔を紅潮させて涙を浮かべた。
しかし、俺の中の狼がささやいてくる。もう前戯は十分に楽しんだ。彼女の中に、彼女の中に入らねば。
それ以上に望むものはなかった。
彼女がすすり泣くのを見ながら、指をひっこ抜き、脚を広げて大きくなった俺の膨らみを受け入れる準備をしていると、彼女は突然硬直し、泣き叫んだ。「ちょ、ちょっと...もうこれ以上は...やりたくない」
あまりのことに、彼女は今正気じゃないんだと俺は思った。シエナは俺をからかってるのか?
「でも君の体は欲してるじゃないか」そう言って、彼女に体を重ね、唇を奪おうとした。「俺だってそうさ。その気持ちを俺に和らげてほしんだろ?」
「違うわ!」彼女ははっきりとそう答えた。「あなたが私の真のパートナーかどうかまだわからないし、そうなる日が来るかどうかもわからないもの」
彼女は突然立ち上がり、ドレスを太ももから上げて着直し、落ち着きを取り戻そうとしていた。彼女は震え、何かに怯えているようだった。
何をそんなに恐れているんだ?俺か?
そのとき、あることが思い当たった。でも、そんなはずはない...人狼がそんなにマゾヒステリックなわけがない...。
「シエナ...君はもしかして...処女なのか?」
鳩が豆鉄砲を食らったように、目を見開いたまま呆然とするシエナ。シエナは答えるのを躊躇しているようで、彼女の顔に刻まれた恐怖を目の当たりにするのがつらかった。それはとても衝撃的だった。
しかし、彼女の答えほどではなかった。
「うん...」
俺の中の狼と人間の心は、困惑して頭をかしげた。あまりの驚きで、どう反応していいものか分からなかった。
だから俺は純粋に疑問をぶつけた。 「なぜだ?」
彼女は視線を落とし、燃えるような赤い髪がベールのように肩に落ちた。「エイデン...」
「質問に答えてくれ、シエナ」
これは単なる男から女への質問ではなかった。群れの一員に対するアルファからの質問だった。人狼が18歳を過ぎて、セックスを経験したことがないなど...。
何か理由があるはずだ。そうじゃなきゃおかしい。そして彼女のパートナーとして、俺はそれを知る権利があった。
お互い高ぶっていた気持ちは鎮まり、彼女はようやく普通に呼吸ができるようになったようだ。それでも、彼女の体にはまだ緊張が走っており、拳を握り締めていた。
「自分のパートナーのために、とっておいたの」「私が心から愛せるのは真のパートナーだけで、そうでない人に特別なものを捧げたくないもの」
彼女の発言には何か違和感があった。
純潔の文化は、人狼にとってはいささか受け入れ難いものであった。セックスは世間的にも受け入れられたものであり、良いことだった。セックスを恥じることなんて何もなかった。むしろ、それを享受し、楽しんでさえいた。
彼女は俺に嘘をついているに違いない。
すかさず、彼女の手のひらをこじ開け、爪が皮膚に食い込んで血まみれになっているのを見た。心配になり、俺がシエナの顔を確認すると、彼女は目を背けた。
「シエナ、何が起こっているのか俺に話してほしい」
「お願い...お願いだからそれは聞かないで」
「それが何であれ、明らかに君の心を引き裂いているんだ」また俺に心を閉ざしたシエナに思わず唸ってしまった。「このことを無視して、何事もなかったかのように振る舞えとでも言うのか?」
「私はあなたの真のパートナーではないの」そう言い返した彼女の言葉は、俺の心に深く突き刺さった。「私の心配をするのは、あなたの責任などではないわ」
でも、俺の役目なんだ。だから俺は、彼女を苦しめているものから守ってやりたいと思った。「俺が君に印をつけたとき、そう誓ったんだ!」
最初は激昂しし、俺と戦う気満々のような表情だったが、やがて顔を下げ、疲れ切ったような、警戒したような声で言った。「もしここで手を引いてくれたら、何でも...何でもするわ」
その瞬間、俺の怒りはすぐに消え、安堵に変わった。「何でも?」念のため確認しておいた。
そしてシエナはうなずいた。ようやく俺は、彼女を守るために何をしなければならないか、はっきりと分かった。彼女に絶対的な安心感を与え、お互い距離を縮める時間を作り、最終的に彼女が自分自身の気持ちを受け入れ...俺を受け入れてくれることを願うだけだった。
「明日からここに住むんだ。そうすれば、いつでもお前を見守ることができる」そう言うと、彼女の体が俺に対抗するように緊張するのが伝わった。それでいい。従順な彼女には興味がない。トゲがあるのも含めて、シエナらしくあってほしかった。
「言い訳はなしだ」シエナの目を見つめながら続けた。「遅刻もなしだ。絶対に明日からだ」
彼女は唇をとがらせる。「あなたとセックスはしないわ」そう無愛想に吐き捨てた。「あなたが私の真のパートナーかどうかがわかるまでは」
「それから、私に偉そうに指示するのもなしよ。あなたに指図されるつもりはないわ。もしここに引っ越すことで、私があなたの所有物になるとでも思っているのなら、その時は爪を出して、いい子ぶるのはやめるわ」
もともといい子ぶったことがないことを考えれば、こんなのたいした脅しにはならなかったのだが、シエナの反抗的な態度はともかくかわいかった。そして何より、彼女が承諾してくれたことが嬉しかった。
俺は口元に笑みを浮かべて言った。「上等だ」
彼女に真実を話さなければならないと分かっていたが、俺たちはようやくお互いを理解し合えるようになりつつあった。
シエナは俺に慣れる時間が必要だったし、パートナーを持つという考え自体にも、そしてそれが何を意味するのか理解する時間も必要だった。これは、俺が彼女に抱いている想いを、彼女にも抱いてもらえるかどうか確認する試運転のようなものだった。
1度しかチャンスはないのだから、失敗は許されない...。
***
翌日、シエナと同棲することになった俺は、仕事に手がつかなかった。
1日中、腹の底には不安感があった。興奮か、緊張か、あるいは恐怖だったかもしれない。
そんな中、シエナを迎えに本部を出ようとしたとき、俺を追いかけてきたジョシュが言った「アルファのラファエル・フェルナンデスから電話だ」いつになく息を切らしている様子だ。「緊急だそうだ」
シエナが来ることに恐怖を感じていなかったとしても、今は間違いなく俺は恐怖を感じていた。
ラファエル・フェルナンデスはミレニアムのボスであり、普段からとても忙しい男だった。それ故に、あいつから電話がかかってきたときは、自分が何かをやらかしたときなのだ。
これ以上最悪なタイミングはない。気分は高揚し、あの子と唇を重ねたくて気が狂いそうなほどムラつきあげているというのに。
だが、群れのボスたるもの、気持ちが高揚していようがなかろうが、常に群れを最優先に行動しなければならなかった。少なくとも、パートナーがいることを皆に報告するまではな。
「待てないのか?」俺は苛立ちながら聞いた。「シエナを迎えに行かないといけない」
ジョシュは顔をしかめる。「エイデン、相手はラファエルだ。彼は誰であっても待たない。デートは延期して...」
「彼女は俺と一緒に住むんだ」「今日じゃなきゃだめなんだ」
もし延期したら、彼女が怖気づいて、もう無理だと言いだすような気がしたからだ。
ジョシュは呆気にとられた様子だった。「一緒に...住むだと?俺にはいつ言うつもりだったんだ?」
「たった今言った」車に向かって俺は歩みを止めない。
これは少しやり過ぎだとわかっていたが、俺はパートナーと一緒にいる必要があった。シエナとどうしても一緒にいたかった。
シエナには、俺をアルファとしてではなく、せめて、パートナーになりうる存在として見てほしかった。1人の男として、彼女が愛し、心から頼れる人になりたかった。そのためには、今、彼女と一緒にいなければならないのだ。
「俺が彼女を迎えに行くよ」とジョシュが突然言った。
ジョシュの方を振り向くと、任せておけと言わんばかりの目で俺を見つめていた。
ジョシュがポーカーフェイスを貫くことができないのは知っている。そして、あいつの目の奥に、何やら不気味な光を放つ悪戯な眼差しを感じた。
「お前に任せたことを、俺に後悔させないでくれよ」警告がわりにそう伝え、車のキーを差し出す。「さもないと、お前も後悔することになるからな」
「自分の車で行くよ」そう言うと、ジョシュは力強くうなずいた。「任せてくれ、アルファ」
ジョシュにシエナを迎えに行かせることに、俺はまだ迷っていた。あいつが何か企んでいるような気がしてならなかったからだ。だがそのとき、携帯が鳴り、アルファのフェルナンデスから直接電話がかかってきてしまった。
くそ、ここまでか。
ジョシュが去っていくのをもう一度注意深く確認し、それから深呼吸をして電話に出た。
「ごきげんよう、アルファ・フェルナンデス。どういう風の吹き回しでしょうか」
「ずいぶん、堅苦しいな」ラファエルは気取った感じで答えた。「お前も忙しいだろうから、手短に済ませる」
緊張で腹がキリキリする。俺にこんな感覚を与えられる他のアルファは、ミレニアムのアルファだけだ。
「最近お前に関するいろんな話を聞くよ、エイデン」「他のアルファたちが話している内容が、どうも気がかりでな」
「そんなたわごとに耳を傾けているのですか?」「そんな暇がおありなら、ご自身で真偽を調べてみてはいかがですか?」
薄氷を踏む思いで彼に言い返してみたが、他のアルファから尊敬を得る唯一の方法は、とにかく自分の立場を貫くことだった。
「噂話を全て鵜呑みにしているわけではないさ」俺の挑発に動じることなく、彼はそう言った。「ただ、その噂話が俺の耳に入っているということを知ってほしかっただけだ。真偽は俺が自分で判断する」
彼の口調は威嚇とまではとれなかったが、それでも十分俺を不安にさせた。
「もしかしたら、思ったより早くお前と会うことになるかもしれないな」「とりあえず今は、下手なことはするんじゃねえぞ、と伝えたかっただけだ。アディオス、エイデン」
そんな不吉なメッセージとともに、電話は終わった。
それが俺にとって何を意味するのかはわからなかったが、それが何であれ...。
用心することだな。













































