
The Millennium Wolves ミレニアム・ウルフ アルファの野望6
この巻は「The Millennium Wolves ミレニアム・ウルフ アルファの野望 5巻」からの続きです。
準備はいい?
俺はまだバーにいた。もちろん、ミレニアムアルファと一緒に。シエナが7分前に出て行くのを見て、何かがおかしいと感じた。しかし彼は話し続け、お酒の注文も止まる気配は全くない。
ここに彼を置き去りにするわけにもいかない。だが...何とかここを抜け出さないと。
「ちょっと失礼してもよろしいですか?ちょうど私のベータが...あそこにいるんです。彼は飲み相手にはもってこいですよ」俺はそう言って、ジョシュがいる方の壁を指差した。
「その必要はない」そう言うと、ジョシュに近づこうとする俺を制止させた。
「彼のところまで一緒に行きますよ。ちょうど外の空気でも吸おうと思っていたので」
「お〜そうか、俺もリフレッシュしたいと思ってたんだよ」意地でも俺から目を離さないつもりだな。
「そうでしたか」仕方なく彼をパーティー会場に案内し、バーを後にした。外に出て周りを見回してみたが、人影はなかった。俺は目を閉じて、彼女の気配を察知しようとしたが、できなかった。
よく考えるんだ。
彼女は動揺していた。パーティーをドタキャンすることはないだろう。それが動揺した直接的な原因でない限りは。彼女が本当に動揺して、怒っていたとしたら...姿を変えるはずだ。『森か!』
「森にでも行ってみますか?この季節は特にきれいなんですよ」くそぉ...いっそはっきりと彼に伝えることができれば。
「俺は何でもいいさ」そういうわけで、俺たちは右に曲がり、森の端まで目指して歩き、オークと泥の独特の匂いを嗅ぎながら進んでいった。
「今日は私のために、わざわざいらしたのでしょう?」
「もう1回言ってくれるか?」
あなたが何の説明もなく、このパーティーに来るとは...失礼を承知で申し上げます、ミレニアムアルファ。お越し頂き大変嬉しいのですが、正直理解できません」
「それにここに来てからというものの、あなたはずっと私のそばを離れようとしない。それは、私から何かを聞き出すためか、私について何かを聞き出すためかの二択でしょう。いかがですか?」
もうこのくだらないやり取りにうんざりしていた。はっきりと教えてほしい。
彼は歩みを止め、俺の目をじっと見た。俺はその目力から彼のパワーを感じ、一線を越えてしまったかもしれないと思った。しかし、しばらくすると、彼はまばたきをしてから俺に再び話し始めた。
「そうだ。その通りだ」
「誰に頼まれたのですか?」できるだけ平静を装って尋ねた。
「誰に頼まれたわけでもない。ただ、ここんところ色々な話を聞いていたんだ。君の力が弱まっているという噂についてね」
それを聞いた瞬間、俺は思わず唸り声を上げた。
群れ中の誰かが、俺に隠れて、この俺の統率力に疑念を抱き、ミレニアムアルファに助けを乞っただと!?
「誰からそれを?」俺は怒りを滲ませながらさらに尋ねた。
「そんなことはどうでもいい。重要なのは、俺がここにいるということだ。お前の様子を確かめ、本当にそんな問題の火種が存在するのかを知りに来たんだ」
ラファエルに怒りをぶつけたいくらいだったが、彼は本当に心配しているようだった。決して俺を見下しているわけではない。
彼は立ち止まり、木々を眺めてから、俺の目を見て問いかけてきた。
「探しているのか?」
「パートナーを」
そういうことだったのか。俺の力が衰え、以前ほどリーダーらしく振る舞えていないという噂。それは全て、俺にパートナーがいないからだと疑っていたのか。
だが、もう見つけた。
「ご心配には及びません。もう見つけましたから」
「本当かね?」どうやらまだ疑っているようだ。「そんな気配は感じ取れないが」
俺はゆっくりと地面を見た。「彼女はまだ気づいていないんです。今のところは、今シーズンのカップルにすぎません。でも彼女のために、ゆっくりと時間をかけて関係を温めていきたいんです」
ほんの一瞬だが、彼の表情が和らいだような気がした。「だからお前はまだ、”交わり”を交わしていないんだな。手に取るように分かるぞ。お前の行き場のない怒り、そして敵意。それがアルファとしてのお前の目を曇らせているんだ」
「今夜がその夜になるはずでした」「でも彼女は...パーティーから姿を消しました。彼女に何かが起こったに違いないんです...」
そしてその瞬間、シエナの匂いがした。忘れるはずがないこの香り。間違いなくシエナだ。それもこの近くにいる。
「彼女はここにいます。森に逃げたんです。どうしても...彼女を見つけないと。彼女に伝えないといけない」
彼はただ静かにうなずいた。
「ありがとう、ミレニアムアルファ」
「エイデン、ラファエルでいい。会場で会おう」そう言うと彼は振り返り、来た道を戻っていった。
俺はすぐさまタキシードをすべて脱いで姿を変え、鼻を働かせた。
そして遠吠えをし、俺が近くにいることを彼女に知らせた。しかし彼女の反応はない。仕方なく俺は走り出した。
数メートルも走ると、前を走る彼女の赤い毛が見え始めた。1キロもないといったところだ。それはさらにペースを加速させた。
俺の存在を知らせるためにもう1度吠えたが、どうやら逆効果で、彼女は逃げるスピードを加速させるばかりだった。
数秒もしないうちに、俺は彼女の尻尾に追いついたが、それでも彼女は止まろうとしない。俺がいくら吠えても、彼女はスピードを緩めず、止まる気配すらなかった。
他に選択肢はない。俺は前方に向かって突進し、彼女にタックルした。
俺たちはしばらく転がり、彼女の手足は俺を追い払おうとしたが、止まった瞬間、俺はシエナの上に馬乗りになった。
「人間に戻れ」俺がそう命じても、彼女は首を横に振った。「嫌よ」
俺はさっきよりも激しく唸り声をあげ、彼女に命令する。「人間に戻れ!」
しかし、彼女はさらに激しく抵抗するばかりだった。
しょうがなく俺は彼女を強く掴み、直接彼女の顔に向かって唸った。ようやく降参したとばかりに、彼女の大きな青い目は完全に丸くなった。
そして彼女は姿を変え始めた。体を覆っていた毛が消え、手足が凝縮し、筋肉が痙攣して人間の姿になるのを俺は見届けた。
泥泥とした地面に背中をつけ、彼女は俺の真下で裸になっている。そして、俺も人間の姿に戻し、彼女を抱きしめた。
その時、彼女の頰に涙が伝った。
「あなたは私に嘘をついたのね。私を利用して...ミレニアムアルファに自分が強いと思い込ませたかったんでしょ?」
「は?何のことだ?」
「ジョシュから聞いたわ...あなたは私のことを生涯のパートナーだなんて思っていないって」
「ジョシュが何だって!?」
これで全ての謎が解けた。今までずっと、ラファエルが俺を狙っていると思っていたが、全てジョシュの仕業だったのだ。彼に偽の情報を与え、俺の力が弱まっていると勘違いさせたのも。
シエナは感情を抑えきれずに、泣き叫びながら俺に言った。「彼、言ってたわ。あなたは私の運命のパートナーではないって。思わせぶりな行動をとっているだけだって!」
俺は彼女の顔を両手でつかみ、俺の目を見つめさせた。
「俺は君にずっと嘘をついていた。それは認める」彼女の目にはさらに涙がたまり、顔が真っ赤になった。
だが、今こそ真実を打ち明けるときだ。
俺は声を震わせながら続けた。
「でもそれは、君を見た瞬間に、自分の生涯のパートナーだと確信したからなんだ、シエナ・マーサー。あの川岸で君が絵を描いていたときから、俺はそれを知っていた。それ以来、君と一緒にいるたびにそう思ってきた」
彼女の頬の赤みがゆっくりとピンク色に薄れ、その瞳は現実を取り戻しているように見えた。
「もし嘘をついているなら、エイデン、絶対にあなたを殺すわよ」
俺は思わず笑った。笑わずにはいられなかった。「わかってるよ。だから君を愛しているのさ」
そうシエナに伝えると、2、3秒ほど沈黙があった。しかし、そのほんの数秒が、果てしない永遠のように感じられた。
そして次の瞬間、彼女は俺がずっと待ち望んでいた言葉を、彼女が口にすることはないだろうと思っていた言葉を口にした。
「私もあなたを愛してるわ」
彼女の瞳は、まるで燃え盛る宝石のように輝き、その瞳の中に自分の姿が反射する。ようやくシエナは、俺が彼女にどれほどの想いを抱いていたのかを理解してくれた。
俺たちは、生涯のパートナーになったのだ。俺は彼女のパートナーであり、彼女は俺のパートナーだ。
俺は身を乗り出して彼女にキスすると、今までシエナに対して抱いていた不安や恐れは、全て自分の思い過ごしだと分かった。
彼女は俺を求めていた。いや、必要としていた。彼女の俺に対する欲望は、今までよりもずっと強くなっていた。それは、彼女が俺をパートナーとして完全に受け入れたからだ。
もう不安も抵抗もなかった。シエナは、俺こそが運命のパートナーであると確信してくれた。
俺が抱いていた恐怖は一瞬にして洗い流され、残ったのは彼女への愛だけだった。
キスをしている間、お互いの感情はさらに高まり、まるでこの世界は自分たち2人だけのために存在しているように感じられた。その特別な2人だけの時間と空間で、俺たちは裸で絡み合った。もう興奮は限界に達し、彼女の匂いは俺を狂ったように欲情させた。そして彼女は俺にしがみつき、背中に手を回すと、静かに、そして力強く息をした。
彼女が目を開き、俺を見つめた今、シエナに対する欲望は計り知れないものとなった。彼女も同じくらい、狂おしいほどに俺を求めている。
彼女と果ててしまいたい。この広い森の葉と土の上で、生々しく、原始的で、そして奔放に。
心はひとつになり、今度はお互いの身体がひとつになるときだった。
俺のペニスが彼女の入り口に滑り込み、シエナは柔らかな喘ぎ声を上げた。
そのいやらしい音、そして彼女の快楽に満ちた興奮が俺を狂わせる。
彼女はもうビショビショに濡れ、俺を誘っていたため、もう痛いほどシエナが欲しくてたまらなかった。だが、彼女はまだ処女で、これが初めての経験だ。
ここでアルファの本能を剥き出しにしては、彼女が夢にも思わない方法で犯してしまいそうだ。そんなわけにはいかない。しっかりと、彼女の想いを確認しなければ。
そこで、初めて彼女と目が合ったときから答えが欲しかったことを、俺はシエナに聞いた。
「シエナ...準備はいい?」












































