
コルト 1%の男たち 2巻
Author
Simone Elise
Reads
🔥17.5M
Chapters
3
コルトはヴァイパーズ・モーターサイクル・クラブに所属することの真の代償を知り、ヴァイパーズとの繋がりを絶たんとすると宣言した。一方、夫のエリオットとの幸せな結婚生活が崩れ始め、浮気とDVに苦しめられるサマー。自分を殺して安定を求めることよりも人生を変えることを決意する。コルトは彼女の救い手となり、二人は予想だにしない旅へと出発する。
平和への試み
コルト
人生で何かを達成したいなら、少しくらい地獄を見ることを恐れてはいけない。最後の一撃を放ち、殺そうとした男の命を奪ったとき、服にかかる血しぶきを恐れてはならない。後悔しながら生きることはできない。もしも…という疑問が頭の中を駆け巡るような人生は送れない。
だから、俺は一度決断したら、それを貫いた。命を奪った時、それを後悔したことはない。なぜなら、命を奪うには、常に正当な理由があったからだ。
たった一度を除いては。
ヴァイパーズのクラブハウスにある親父のオフィスに立っていると、あの日のことを思い出さずにはいられなかった。11歳を少し過ぎた頃で、悪魔の名に恥じないだけの力が自分にあるかどうかを確かめる時だった。
親父の言葉がよみがえった。「おい、お前には臆病者の血が流れているのか?」
オフィスの床にひれ伏し、哀願する女性を即座に殺せなかった時の反応だ。
親父は女を殺せと言ったが、俺は躊躇した。俺にとって初めての殺人であり、女を殺すなんて最低だと思っていた。親父はクラブに従う者たちを上手く操る素質があるかどうかを確かめたかったのだ。
女であろうとなかろうと、その女は裏切り者であり、クラブの敵であった。親父は女に死刑を宣告した。その判決を執行するのは俺だった。
女は泣き叫び、懇願したーだが俺は引き金を引いた、俺には臆病者の血は流れていなかったからだ。
女の命を奪った時、俺は誓った。クラブのせいで苦しむ女をもう二度と見たくないと。
会長に就任するや否や、会員らに自分の妻へ余計なことを話さないよう警告した。もう二度とあんな状況を見たくなかった。このクラブでの生活が、女の命を奪うほどの影響を与えうることを感じたくなかった。女たちが何も知らなければ、何の脅威にもならない。
愚かなことだとは分かっていたが、女が利用されているのを見て、黙っていられなかった。
俺の道徳の羅針盤は、女に関しては常にまっすぐな方向を向いていた。
親父が母親を騙し、嘘をつき、虐待するのを見ていたからかもしれない。いずれにせよ、俺は、どこのクラブであれ、女が死ぬのを黙って見過ごすようなことはしない。
「お前、ここに来るとは大したもんだな」部屋に入ると、ピックが不機嫌そうに言った。俺たちは別で会うことにしていたのだ。俺とピックだけで。
結局のところ、これはビジネスであり、俺たちは駆け引きの準備はできていた。ピックは金と仲間たちの尊敬を手に入れていた。俺には刑務所で築いた人脈とレガシー(財産)があった。レガシーは、バイカーにとって一番大事なものだ。
「副会長はどうだ?」机の上に陳列された酒を眺めながら俺は尋ねた。そして、琥珀色のボトルを手に取り、グラスに注いだ。
「焼けこげたよ」ピックは俺からボトルを払いのけ、椅子に腰を下ろした。「他の男たちもな。でも奴らは生きてはいる」
「死なせたかったら、とっくに死んでるさ」
ピックは呻いたが、俺が真実を話していることを分かっていた。俺が誰かの死を望めば、そいつらは死ぬ。単純なことだ。
ピックが次に何を言おうと、気に入らないことだろうと感じていた。
「お前に提案がある」 ピックはタバコに火をつけ、嘲笑うような表情で俺を見た。
「母体である本部と創設者ワッペンを差し出せば、お前に特別な地位を与えてやる」ピックはほんの少し身を乗り出した。「サポータークラブとしてな」
サポータークラブとは、同じ会員権を共有し、軽犯罪に手を染めるくだらないクラブのことだ。とんでもねえ侮辱だ!
「殺されたいのか?」 俺はグラスを押し退けた。酒が入っていないからこそ、すぐ本気になれた。
「そう言うと思ったさ」ピックは、まるで俺に撲殺されるのを恐れてないかのように、余裕で肩をすくめた。「だからカメラで監視させているんだ。もし俺に手を出したら、お前の親友と呼ばれる男を始末してやる」ピックは俺を見つめた。「そしてその妹も、念のため......ただし、妹はもう少し遊ぶかもしれないが...」
「くそったれが、どういう意味だ?」
「俺は今、女がひっそりと姿を消していく仕事をしている、とだけ言っておこう」 かなり自惚れた様子だった。「13年前、てめえが一掃しようとしたビジネスと同じだ」
俺の表情は曇った。「まさか、女の売買か?」
「誰かがやらなければならなかったんだ。あんたがディアブロスのバイククラブを潰した後、舞い込んできたビジネスチャンスだったんだ」
ピックはたばこの火を、新しく作られた机に押し付けた。
「男たちが同意するわけがねえ!」
「最初は躊躇していたが、リターンを見たら愚痴を言わなくなった。これを見ろ」ピックは手を振ってオフィスを見回した。「これは我々のビジネス・パートナーから供給され、維持されている。酒も現金も無制限だから、みんな満足してるんだ。下からビジネスを奪われないようにしないとな」
ピックの目はこっちに向けられた。「クラブの方向性を受け入れなかったやつらは内部から締め出された。ほとんどお前と一緒の時期に出て行ったよ」
スコープは女を売るクラブになっていたことを知らなかったのか。
「おい落ち着け、コルト」ピックが笑った。「血管が切れそうな勢いだな」
考えもせず、部下が見ていても気にせず、俺は彼の喉に手をかけた。
ピックを椅子から引き上げて地面から浮かせ、壁にぶち当てた。
「まだ自分は無敵だと思ってるのか? このくそったれが!」俺は怒鳴った。
オフィスのドアが開き、ピックの部下たちが部屋に突入してくるのが聞こえた。
男らは俺を引き剥がそうとしたが、俺の握力は強く、きつく、ピックの目から生気が消えていった。
中毒者のように、奴の生気が消えていくのを見て、俺の中に空いた穴がふさがっていくようだった。
この男は、俺が命を賭けて終わらせようとしていたものをわざわざ復活させている。ピックが意識を失いかけたとき、俺は体中に痛みが走るのを感じた。
肩越しに手を伸ばし、背中からナイフを抜いた。
くそったれの卑劣な攻撃だ
「この野郎、こっちの申し出を大人しく受けろ、コルト!」 ピックは息を吹き返すとすぐに、こっちに向かってわめいた。奴の声は荒々しかった。「まだ腕にタトゥーを入れておきたいんなら、大人しく従え!」
そのとき、スコープが俺に従っているメンバーを連れて突入してきた。
「ちょうどいい。」ピックは入ってきた奴らを見て言った。「お前らだ、お前らのタトゥーも取ってやるよ」奴の目はスコープに注がれた。「俺に忠誠を誓え、スコープ。さもなくばお前の妹が裏切りの代償を受けることになるぞ」
俺たちのカルチャーには、過ちの代償に家族を巻き込まないという暗黙のルールがあった。結局のところ、俺たちは誓いを立てたときに、自分たちの命だけを捧げることにサインしたのだ。俺たちの死には何の意味もない。
愛する人を失うことは辛い。しかし、自分自身が頭に銃弾を受けたり、拷問によって死ぬことよりも、自分のせいで愛する人が死ぬことの方が何よりも耐えがたい。俺以上にそれを知っている者は誰もいない。
もし家族が代償を払う必要があるとしたら、メンバーがとんでもないことをした時だけだ。
今回の場合、スコープの裏切りはスコープの妹の死に値するとピックは考えている。
妹の安全が脅かされるやいなや、スコープの顔には焦りがはっきりと見えた。スコープが動く前に、俺が口を開いた。スコープが俺の後を追ったせいで、家族を失うことは許されない。
「スコープの家族は俺が守る。妹に手を出すことは、俺に直接手を出すことと一緒だ」
そう言うと、俺は暖炉でくすぶっていた火かき棒を手に取り、ヴァイパーズのタトゥーに押し当てながらピックと目を合わせた。
皮膚は焼け焦げ、ジュージューと音を立て、肉の焼ける匂いが空気を覆った。ヴァイパーズとのつながりを絶たんとすると宣言したのだ。肌に一族のレガシーが何も残らなくなると、ピックの前に火かき棒を投げつけ、奴のブーツにぶつけた。
「お前は今からクラブを代表する立場になる。ハドソン家はもうヴァイパーズを支持しない」と俺は宣言した。ピックに下した死刑宣告が奴の顔に浮かび上がった。
「ヴァイパーズの名で走る者は、俺の手で血まみれの死を遂げるよう、それを俺の生涯の目的にするつもりだ」とピックの部下たちを見渡しながら続けた。「お前らは今、常に背中を狙われながら走っていると思え」
ピックは背筋を伸ばし、俺の目をじっと見つめた。「お前は、俺たちとの唯一の架け橋を焼き尽くしたってわけだ。コルト、わかるよな。お前は俺たちのビジネスを脅かしているんだ。つまりお前も背中を狙われながら走る覚悟を決めとけよ」
ピックの部下たちは、腕の一部を焼き尽くすような男を相手にしてはいけないと悟ったのか、俺らに何もせずクラブを後にした。
クラブを出た。俺は一族が築いたものから去ったのだ。俺は一族の仇を討つ。それは間違いない。
俺はバイクにまたがり、スコープに言った。「妹を探せ。ピックの手下に見つかる前に、妹を確保しないと」














































